注目論文:高齢者・免疫不全者への次世代肺炎球菌ワクチン戦略
呼吸器内科
高齢者や免疫不全者に対する肺炎球菌ワクチンは、PCV20やPCV21の登場で「単回接種」というシンプルな戦略が可能になりました。これは接種漏れや脱落を防ぐ上で臨床的に極めて大きなメリットです。本レビューでは、これら高力価ワクチンの免疫原性がPCV13に対し非劣性であるとしつつ、コストの問題から依然としてPCV13/15+PPSV23の併用も多くの国で維持されている現状を指摘しています。免疫防御レベルの人種差や血清型置換のモニタリングの重要性にも触れており、単に新しいワクチンに切り替えるだけでなく、各地域の疫学や経済状況に合わせた戦略が必要であることを再認識させる総説です。
Pneumococcal conjugate vaccines in older adults and immunocompromised individuals
高齢者および免疫不全者における肺炎球菌結合型ワクチン
Luvira V, Ngamprasertchai T, Pitisuttithum P.
Expert Rev Vaccines. 2026 Dec;25(1):1-10.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41368837/
高齢者および免疫不全者における肺炎球菌結合型ワクチン
Luvira V, Ngamprasertchai T, Pitisuttithum P.
Expert Rev Vaccines. 2026 Dec;25(1):1-10.
背景: 肺炎球菌感染症は、特に高齢者や免疫不全者において高い罹患率と死亡率をもたらします。多くの肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)が利用可能になっていますが、これらの集団における免疫原性、有効性(Efficacy/Effectiveness)に関するデータは限られています。
研究デザイン: 高齢者および免疫不全者を対象としたPCVの免疫応答、免疫学的相関、有効性、実世界での有効性、および費用対効果について批判的に検討したレビューです。
結果: 高齢者および免疫不全者には、20価(PCV20)または21価(PCV21)のPCV単回接種が推奨されます。防御の免疫学的相関は血清型や人種によって異なりますが、IgGレベル0.35 µg/mLが防御と関連しており、侵襲性肺炎球菌感染症に対する最も信頼性の高い機能的相関指標は閾値1:8のオプソニン化貪食アッセイ(OPA)です。高力価PCVはPCV13と比較して非劣性の免疫原性を示していますが、共有血清型に対する幾何平均倍率(GMFR)はわずかに低い傾向にあります。
結論: 新しい高力価PCVは有用ですが、特に血清型有病率が異なる地域における実世界での有効性データが依然として必要です。PCVプログラム導入時には血清型サーベイランスが重要です。高力価PCVの高コストのため、多くの国では高リスク群に対してPCV13またはPCV15に続いてPPSV23を接種する方法(連続接種)の使用を継続しています。
研究デザイン: 高齢者および免疫不全者を対象としたPCVの免疫応答、免疫学的相関、有効性、実世界での有効性、および費用対効果について批判的に検討したレビューです。
結果: 高齢者および免疫不全者には、20価(PCV20)または21価(PCV21)のPCV単回接種が推奨されます。防御の免疫学的相関は血清型や人種によって異なりますが、IgGレベル0.35 µg/mLが防御と関連しており、侵襲性肺炎球菌感染症に対する最も信頼性の高い機能的相関指標は閾値1:8のオプソニン化貪食アッセイ(OPA)です。高力価PCVはPCV13と比較して非劣性の免疫原性を示していますが、共有血清型に対する幾何平均倍率(GMFR)はわずかに低い傾向にあります。
結論: 新しい高力価PCVは有用ですが、特に血清型有病率が異なる地域における実世界での有効性データが依然として必要です。PCVプログラム導入時には血清型サーベイランスが重要です。高力価PCVの高コストのため、多くの国では高リスク群に対してPCV13またはPCV15に続いてPPSV23を接種する方法(連続接種)の使用を継続しています。