注目論文:CTD-ILD診断における「肺エコースコア」の実力とQCTとの相関

呼吸器内科
聴診器の延長としての肺エコー(Point-of-Care Ultrasound: POCUS)の有用性を支持する報告です。CTD(膠原病)患者のILDスクリーニングにおいて、被曝のないエコーが高い感度で早期病変(Preclinical ILD)を拾い上げ、かつAI解析を用いた定量的CT(QCT)の線維化スコアとも強く相関するという結果は臨床医にとって朗報です。
A Lung Ultrasound Score for Assessing Connective Tissue Disease-Related Interstitial Lung Disease: Performance and Comparison With Computed Tomography Quantification
結合組織病関連間質性肺疾患を評価するための肺超音波スコア:性能およびCT定量化との比較
Zhang Y, Pang L, Guo N, et al. Respirology. 2025 Dec 10. doi: 10.1002/resp.70182.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41371908/
背景: 結合組織病関連間質性肺疾患(CTD-ILD)の診断および評価における肺超音波(LUS)の役割については議論が続いています。本研究は、定量的LUSスコアの診断性能と、CTD-ILD患者におけるLUSスコアと定量的CT(QCT)パラメータとの相関を評価することを目的としました。

研究デザイン: 2023年12月から2024年11月の間に受診した、ILDが臨床的に疑われるCTD患者を対象とした前向き研究です。14箇所の肋間スキャンプロトコルを用いてLUSを実施し、高分解能CT(HRCT)はAIベースのQCTソフトウェアを用いて解析されました。参加者は呼吸機能検査(PFT)を受け、King's Brief Interstitial Lung Disease(KBILD)質問票に回答しました。

結果: 登録されたCTD患者206名のうち、145名がILD群、30名が前臨床(Preclinical)ILD群、31名が非ILD群に分類されました。ILD患者は非ILDまたは前臨床ILD患者と比較して、LUSスコアおよびQCTパラメータが高値であり、PFT結果およびKBILDスコアは低値でした。LUSスコアのカットオフ値を5.5および14.5とした場合、非ILDと前臨床ILDおよびILDをそれぞれ感度93.1%および93.8%(特異度:それぞれ83.9%および86.9%)で識別しました。LUSスコアはすべてのQCTパラメータ、特に線維化の範囲と正の相関を示しました(r = 0.784; p < 0.001)。

結論: LUSはCTD-ILDの早期診断を容易にし、定量的LUSスコアはQCTで定義されたILDの広がりと良好に相関することが示されました。