注目論文:RSV重症化因子としての「年齢 vs 基礎疾患」
呼吸器内科
現在、RSVワクチンは主に60歳以上が対象ですが、本研究は「基礎疾患を有する若年成人(18-59歳)」が「基礎疾患のない高齢者」よりもICU入室率が高く、滞在期間も長いという衝撃的な事実を示しています。RSVの重症化リスクにおいて、暦年齢以上に併存疾患(Comorbidities)がいかに重要かを物語るデータです。米国では既にリスク群への適応拡大が進んでいますが、日本でもハイリスク若年層への予防戦略を再考させる重要なエビデンスと言えます。
Intensive Care Unit Stay and Mechanical Ventilation Among Adults with Respiratory Syncytial Virus-Related Hospitalization by Age and Comorbidity Status
年齢および併存疾患の状態別によるRSV関連入院成人のICU滞在と人工呼吸器管理
Liang C, Zhou Y, Kent M, Chilson EL, Gessner BD, Begier E.
Infect Dis Ther. 2025 Nov 11. doi: 10.1007/s40121-025-01255-7.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41217597/
年齢および併存疾患の状態別によるRSV関連入院成人のICU滞在と人工呼吸器管理
Liang C, Zhou Y, Kent M, Chilson EL, Gessner BD, Begier E.
Infect Dis Ther. 2025 Nov 11. doi: 10.1007/s40121-025-01255-7.
背景: RSVは、入院中の高齢者や基礎疾患を持つ人々において重篤な転帰を引き起こす可能性がありますが、年齢や併存疾患の状態によって層別化された転帰についてはほとんど知られていません。本研究は、RSV関連入院成人における集中治療室(ICU)滞在と人工呼吸器(MV)の使用状況を、年齢およびリスク群別に記述することを目的としました。
研究デザイン: Optum Market Clarity Databaseを用いた後ろ向きコホート研究を実施し、18歳以上の成人におけるRSV関連入院を特定しました。ICU入室、ICU滞在期間、MV使用を年齢およびリスク群別に集計しました。事前に定義された基礎疾患を少なくとも1つ有する患者を「高リスク」、それらを持たない患者を「低リスク」と定義しました。
結果: 合計13,734件のRSV関連入院が特定され、そのうち89.8%が高リスク群でした。ICU入室は全体の31.2%で発生しました(高リスク32.1%、低リスク22.6%)。注目すべきことに、高リスクの若年成人(18-49歳:31.1%、50-59歳:34.8%)は、低リスクの高齢者(60-74歳:27.8%、75歳以上:21.6%)よりも高いICU入室率を示しました。平均ICU滞在期間は4.5日でしたが、ここでも高リスクの若年成人は低リスクの高齢者と比較して滞在期間が長い傾向にありました。MVは全体の6.2%で使用されました。
結論: RSV関連入院において、高リスク成人は低リスク成人と比較してより重篤な転帰をたどりました。特に、高リスクの若年成人は、基礎疾患のない高齢者と比較してより重篤な転帰を示したことから、この年齢層における疾患予防(ワクチン接種など)の重要性が浮き彫りになりました。
研究デザイン: Optum Market Clarity Databaseを用いた後ろ向きコホート研究を実施し、18歳以上の成人におけるRSV関連入院を特定しました。ICU入室、ICU滞在期間、MV使用を年齢およびリスク群別に集計しました。事前に定義された基礎疾患を少なくとも1つ有する患者を「高リスク」、それらを持たない患者を「低リスク」と定義しました。
結果: 合計13,734件のRSV関連入院が特定され、そのうち89.8%が高リスク群でした。ICU入室は全体の31.2%で発生しました(高リスク32.1%、低リスク22.6%)。注目すべきことに、高リスクの若年成人(18-49歳:31.1%、50-59歳:34.8%)は、低リスクの高齢者(60-74歳:27.8%、75歳以上:21.6%)よりも高いICU入室率を示しました。平均ICU滞在期間は4.5日でしたが、ここでも高リスクの若年成人は低リスクの高齢者と比較して滞在期間が長い傾向にありました。MVは全体の6.2%で使用されました。
結論: RSV関連入院において、高リスク成人は低リスク成人と比較してより重篤な転帰をたどりました。特に、高リスクの若年成人は、基礎疾患のない高齢者と比較してより重篤な転帰を示したことから、この年齢層における疾患予防(ワクチン接種など)の重要性が浮き彫りになりました。