注目論文:AECOPDに対するHFNC初期流量は20-30L/minの「低流量」が推奨
呼吸器内科
日常診療でAECOPD(慢性閉塞性肺疾患の急性増悪)に対しHFNC(高流量鼻カニュラ)を使用する際、初期流量の設定に迷うことは多いです。本研究は40のRCTを含むネットワークメタ解析で、20-30L/minの「低流量」設定がPaCO2改善や皮膚トラブル予防において最も有効であるという、興味深い結果を示しています。30-50L/minの中流量は在院日数短縮に関連するようですが、まずは患者の忍容性を高める意味でも低流量から開始する戦略が妥当なのかもしれません。NIVとの使い分けも含め、現場で活かせるエビデンスだと考えられます。
Comparison of the efficacy of high-flow nasal cannula with different initial flow settings in patients with acute exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease: A systematic review and network meta-analysis
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪患者における高流量鼻カニュラの異なる初期流量設定の有効性の比較:システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシス
Ding L, Wu T, Liu H, 他
Pulmonology. 2025 Dec 31;31(1):2598913.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41358529/
慢性閉塞性肺疾患の急性増悪患者における高流量鼻カニュラの異なる初期流量設定の有効性の比較:システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシス
Ding L, Wu T, Liu H, 他
Pulmonology. 2025 Dec 31;31(1):2598913.
背景: 高流量鼻カニュラ(HFNC)は慢性閉塞性肺疾患の急性増悪(AECOPD)の治療に広く使用されていますが、最適な初期流量設定は不明なままです。本研究では、AECOPD患者に対して最も効果的かつ安全な臨床転帰をもたらすHFNCの初期流量について検証しました。
研究デザイン: 2025年1月までに発表された研究を対象に7つのデータベースを検索し、ベイズ統計枠組みを用いたネットワークメタアナリシスを実施しました。主要評価項目は挿管率、副次評価項目は短期死亡率、PaCO₂、pH、PaO₂/FiO₂比、および在院日数でした。
結果: 3,597名の患者を含む40件のランダム化比較試験(RCT)が解析対象となりました。HFNCは非侵襲的陽圧換気(NIV)と比較して、挿管率に有意差を認めませんでした。低流量HFNC(HFNC_Low:20〜30 L/min)は、PaCO₂の有意な減少、pHの改善、および鼻・顔面の皮膚損傷発生率の低下を示しました。中流量HFNC(HFNC_Mod:30〜50 L/min)は、在院日数を有意に短縮しました。SUCRA(Surface Under the Cumulative Ranking Curve)ランキングでは、HFNC_LowがPaCO₂、pH、および損傷予防において最も効果的であり、HFNC_Modは在院日数短縮において最も高いランクでした。
結論: 低流量HFNC(20-30 L/min)は、PaCO₂レベルの低下、鼻・顔面損傷の発生率低下、およびpHの改善において優れた有効性を示しました。中流量HFNCは在院日数を短縮する可能性がありますが、AECOPDに対する初期戦略としては、低流量設定が推奨されます。
研究デザイン: 2025年1月までに発表された研究を対象に7つのデータベースを検索し、ベイズ統計枠組みを用いたネットワークメタアナリシスを実施しました。主要評価項目は挿管率、副次評価項目は短期死亡率、PaCO₂、pH、PaO₂/FiO₂比、および在院日数でした。
結果: 3,597名の患者を含む40件のランダム化比較試験(RCT)が解析対象となりました。HFNCは非侵襲的陽圧換気(NIV)と比較して、挿管率に有意差を認めませんでした。低流量HFNC(HFNC_Low:20〜30 L/min)は、PaCO₂の有意な減少、pHの改善、および鼻・顔面の皮膚損傷発生率の低下を示しました。中流量HFNC(HFNC_Mod:30〜50 L/min)は、在院日数を有意に短縮しました。SUCRA(Surface Under the Cumulative Ranking Curve)ランキングでは、HFNC_LowがPaCO₂、pH、および損傷予防において最も効果的であり、HFNC_Modは在院日数短縮において最も高いランクでした。
結論: 低流量HFNC(20-30 L/min)は、PaCO₂レベルの低下、鼻・顔面損傷の発生率低下、およびpHの改善において優れた有効性を示しました。中流量HFNCは在院日数を短縮する可能性がありますが、AECOPDに対する初期戦略としては、低流量設定が推奨されます。