注目論文:若年成人におけるmRNAワクチン接種と4年間の全死亡リスク
呼吸器内科
「ワクチンが長期的な死亡リスクを高める」という懸念に対し、フランスの2,800万人規模のビッグデータが強力な回答を示しました。18〜59歳の若年・中年層において、mRNAワクチン接種者は未接種者と比較して全死亡リスクが25%低かったという結果です。COVID-19死を除外しても同様の傾向であり、所謂「健康な接種者効果(Healthy User Bias)」の影響も完全には排除できませんが、少なくとも長期的な安全性を強く裏付けるエビデンスと言えます。外来で長期的な副作用への不安を訴える患者さんに対し、客観的データとして提示できる非常に重要な論文です。
COVID-19 mRNA Vaccination and 4-Year All-Cause Mortality Among Adults Aged 18 to 59 Years in France フランスの18〜59歳成人におけるCOVID-19 mRNAワクチン接種と4年間の全死亡率 Semenzato L, Le Vu S, Botton J, Bertrand M, Jabagi MJ, Drouin J, Cuenot F, Olié V, Dray-Spira R, Weill A, Zureik M. JAMA Netw Open. 2025 Dec 1;8(12):e2546822.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41343214/
背景: COVID-19ワクチン接種が短期的な死亡率に与える影響については複数の研究で評価されていますが、ワクチン接種状況による長期的な死亡率、特にSARS-CoV-2感染後に重症化する可能性が低い若年層における比較は行われていませんでした。
研究デザイン: フランス国民健康データシステム(SNDS)のデータを用いたコホート研究です。2021年11月1日時点で生存していた18〜59歳のフランス全人口を対象としました。2021年5月1日から10月31日の間にmRNAワクチンの初回接種を受けた者を「曝露群」、2021年11月1日時点で未接種の者を「対照群」としました。社会人口統計学的特性および41の併存疾患で重み付けしたCoxモデルを用いて、4年間の全死亡率を推定しました。不死時間バイアス(Immortal time bias)に対処するため、追跡はインデックス日の6ヶ月後から開始されました。
結果: 接種者2,276万7,546人と未接種者593万2,443人が中央値45ヶ月間追跡されました。追跡期間中、接種群で98,429人(0.4%)、未接種群で32,662人(0.6%)の全死亡が発生しました。接種者は重症COVID-19による死亡リスクが74%低く(重み付けハザード比[wHR] 0.26)、全死亡リスクも25%低い(wHR 0.75 [95% CI, 0.75-0.76])ことが示されました。重症COVID-19死を除外しても同様の関連が認められ、感度分析でも死因に関わらず一貫して接種者の死亡リスクが低いことが確認されました。
結論: 2,800万人を対象としたこの全国コホート研究では、COVID-19ワクチン接種を受けた18〜59歳の個人において、4年間の全死亡リスクの増加は認められませんでした。これは、世界中で広く使用されているmRNAワクチンの安全性をさらに裏付けるものです。
研究デザイン: フランス国民健康データシステム(SNDS)のデータを用いたコホート研究です。2021年11月1日時点で生存していた18〜59歳のフランス全人口を対象としました。2021年5月1日から10月31日の間にmRNAワクチンの初回接種を受けた者を「曝露群」、2021年11月1日時点で未接種の者を「対照群」としました。社会人口統計学的特性および41の併存疾患で重み付けしたCoxモデルを用いて、4年間の全死亡率を推定しました。不死時間バイアス(Immortal time bias)に対処するため、追跡はインデックス日の6ヶ月後から開始されました。
結果: 接種者2,276万7,546人と未接種者593万2,443人が中央値45ヶ月間追跡されました。追跡期間中、接種群で98,429人(0.4%)、未接種群で32,662人(0.6%)の全死亡が発生しました。接種者は重症COVID-19による死亡リスクが74%低く(重み付けハザード比[wHR] 0.26)、全死亡リスクも25%低い(wHR 0.75 [95% CI, 0.75-0.76])ことが示されました。重症COVID-19死を除外しても同様の関連が認められ、感度分析でも死因に関わらず一貫して接種者の死亡リスクが低いことが確認されました。
結論: 2,800万人を対象としたこの全国コホート研究では、COVID-19ワクチン接種を受けた18〜59歳の個人において、4年間の全死亡リスクの増加は認められませんでした。これは、世界中で広く使用されているmRNAワクチンの安全性をさらに裏付けるものです。