注目論文:テゼペルマブによる経口ステロイド離脱への道(WAYFINDER試験)

呼吸器内科
先行のSOURCE試験では全集団での有意差がつかず議論を呼んだテゼペルマブの経口ステロイド(OCS)減量効果ですが、本試験はその「実力」を再評価する重要な報告です。単群・オープンラベルという限界はあるものの、52週時点で約半数がOCS離脱、約9割が5mg/日以下まで減量できたという結果は、ステロイド依存性重症喘息治療におけるTSLP阻害薬の強力なポテンシャルを示しています。特に好酸球数などのバイオマーカーによらず幅広いフェノタイプで減量が達成された点は、テゼペルマブならではの強みと言えるでしょう。減量に際して副腎機能評価を組み込んだプロトコルも、実臨床の参考になります。
Oral corticosteroid reduction and discontinuation in adults with corticosteroid-dependent, severe, uncontrolled asthma treated with tezepelumab (WAYFINDER): a multicentre, single-arm, phase 3b trial
テゼペルマブ治療を受けた経口コルチコステロイド依存性の重症非コントロール喘息成人患者における経口ステロイドの減量と中止(WAYFINDER):多施設共同単群第3b相試験
Jackson DJ, Lugogo NL, Gurnell M, et al. Lancet Respir Med. 2025 Nov 26:S2213-2600(25)00359-5
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41317738/
背景: テゼペルマブの第3相OCS節減試験であるSOURCE試験では、血中好酸球数(BEC)が150/μL以上の患者においてプラセボに対するOCS節減効果が示唆されましたが、全体集団での効果は限定的でした。WAYFINDER試験は、OCS依存性の重症非コントロール喘息患者のより大規模なコホートにおいて、テゼペルマブによるOCSの減量または中止能力をさらに評価することを目的としました。

研究デザイン: 第3b相、多施設共同、単群、オープンラベル、OCS節減試験です。維持OCS(プレドニゾン換算5~40mg/日)を投与されている重症非コントロール喘息の成人(18~80歳)を11カ国68施設から登録しました。参加者はテゼペルマブ210mgを4週ごとに皮下投与され、最大52週間追跡されました。主要評価項目は、28週および52週時点で、喘息コントロールを維持したまま維持OCS量を5mg/日以下に減量できた割合、およびOCSを完全に中止できた割合としました。5mg/日未満への減量は、副腎機能が保たれていることを確認した上で行われました。

結果: 382名が登録され、テゼペルマブを投与された298名(女性69.1%、ベースライン平均OCS量10.8mg/日)が解析対象となりました。喘息コントロールを維持したままOCSを5mg/日以下に減量できた割合は、28週で88.9%、52週で89.9%でした。OCSを完全に中止できた割合は、28週で32.2%、52週で50.3%でした。OCSの減量と中止は、ベースラインのBEC、FeNO、アレルギー状態に基づくサブグループ全体で達成されました。

結論: 52週間のテゼペルマブ治療により、OCS依存性の重症喘息患者の約90%が維持OCS量を5mg/日以下に減量し、半数以上がOCSを完全に中止しつつ喘息コントロールを維持しました。これらの知見は、テゼペルマブ治療が幅広い患者フェノタイプにおいてOCS使用量とその負担を軽減できることを示しています。