注目論文:重症肺炎・ARDSへのステロイド:死亡率低下と感染リスクへの影響
呼吸器内科
長年の論争に一つの決着を与える重要なメタ解析です。COVID-19を経てステロイドの地位は再評価されましたが、非COVIDの重症肺炎やARDSにおいても「低用量・短期間(プレドニン換算3mg/kg/日以下、15日以内)」かつ「早期導入」であれば、死亡率を有意に低下させ、かつ懸念される院内感染のリスクを増やさないという結果は、臨床医にとって非常に心強いものです。CAPE-COD試験などの近年の知見を統合するもので、二次性ショックの予防効果も示唆されています。集中治療領域において、適切なプロトコル下でのステロイド投与を支持する強固なエビデンスと言えるでしょう。
Systemic Corticosteroids, Mortality, and Infections in Pneumonia and Acute Respiratory Distress Syndrome : A Systematic Review and Meta-analysis
肺炎および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)における全身性コルチコステロイド、死亡率、および感染症:システマティックレビューとメタ解析
Soumare A, Kapfer T, Botrel T, et al. Ann Intern Med. 2025 Dec 2. doi: 10.7326/ANNALS-25-03055.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41325621/
肺炎および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)における全身性コルチコステロイド、死亡率、および感染症:システマティックレビューとメタ解析
Soumare A, Kapfer T, Botrel T, et al. Ann Intern Med. 2025 Dec 2. doi: 10.7326/ANNALS-25-03055.
背景: 非COVID-19肺炎および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)における全身性コルチコステロイドのベネフィットとリスクのバランスについては、依然として議論が続いています。
研究デザイン: 2025年9月までの主要データベース(MEDLINE, EMBASE, Cochrane等)を検索し、全身性コルチコステロイドとプラセボまたは通常ケアを比較したランダム化比較試験(RCT)を選定しました。 主要解析対象は、プレドニゾン換算で3mg/kg/日以下、投与期間15日以下、かつ発症7日以内に開始された「低用量・短期間」のステロイド投与を受けた重症肺炎またはARDSの成人患者としました。
結果: スクリーニングされた16,831件のうち、3,459名の参加者を含む20件の研究(重症肺炎15件、ARDS 5件)が基準を満たしました。低用量・短期間のステロイド療法は、重症肺炎(RR 0.73 [95% CI, 0.57-0.93]、中等度の確実性)およびARDS(RR 0.77 [CI, 0.61-0.99]、中等度の確実性)において、短期死亡率を低下させる可能性が高いことが示されました。また、重症肺炎においては二次性ショックのリスクを減少させる可能性があります(RR 0.49)。 重要な点として、院内感染(重症肺炎:RR 0.99、ARDS:RR 0.97)や二次性肺炎の発生率にはほとんど差がないことが示されました。
結論: 重症肺炎およびARDSにおいて、補助的なステロイド療法は短期死亡率を低下させる可能性が高いです。また、重症肺炎では二次性ショックを減少させる可能性があります。両疾患において、ステロイド投与が院内感染のリスクを増加させる可能性は低いと考えられます。
研究デザイン: 2025年9月までの主要データベース(MEDLINE, EMBASE, Cochrane等)を検索し、全身性コルチコステロイドとプラセボまたは通常ケアを比較したランダム化比較試験(RCT)を選定しました。 主要解析対象は、プレドニゾン換算で3mg/kg/日以下、投与期間15日以下、かつ発症7日以内に開始された「低用量・短期間」のステロイド投与を受けた重症肺炎またはARDSの成人患者としました。
結果: スクリーニングされた16,831件のうち、3,459名の参加者を含む20件の研究(重症肺炎15件、ARDS 5件)が基準を満たしました。低用量・短期間のステロイド療法は、重症肺炎(RR 0.73 [95% CI, 0.57-0.93]、中等度の確実性)およびARDS(RR 0.77 [CI, 0.61-0.99]、中等度の確実性)において、短期死亡率を低下させる可能性が高いことが示されました。また、重症肺炎においては二次性ショックのリスクを減少させる可能性があります(RR 0.49)。 重要な点として、院内感染(重症肺炎:RR 0.99、ARDS:RR 0.97)や二次性肺炎の発生率にはほとんど差がないことが示されました。
結論: 重症肺炎およびARDSにおいて、補助的なステロイド療法は短期死亡率を低下させる可能性が高いです。また、重症肺炎では二次性ショックを減少させる可能性があります。両疾患において、ステロイド投与が院内感染のリスクを増加させる可能性は低いと考えられます。