注目論文:ECIL-10による発熱性好中球減少症(FN)の抗菌薬治療推奨
呼吸器内科
血液悪性腫瘍や造血幹細胞移植後の発熱性好中球減少症(FN)に対する第10回ECILの推奨です。画一的な治療から、地域の耐性菌パターンや個々のリスクに応じた「個別化治療」へのシフトが鮮明です。特に、安定しており耐性菌リスクが低い症例でのカルバペネム温存や、好中球回復前であっても解熱・安定していれば抗菌薬を終了できるという推奨は、Antimicrobial Stewardshipの観点からも極めて重要です。FN診療のパラダイムシフトを感じさせる内容であり、必読のガイドラインと言えるでしょう。
Empirical and targeted antimicrobial therapy in patients with febrile neutropenia and haematological malignancy or after haematopoietic cell transplantation: recommendations from the 10th European Conference on Infections in Leukaemia
血液悪性腫瘍または造血幹細胞移植後の発熱性好中球減少症患者における経験的および標的抗菌薬療法:第10回欧州白血病感染症会議(ECIL)からの推奨
Averbuch D, Vanbiervliet Y, Baccelli F, Mikulska M, Neofytos D, et al. Lancet Infect Dis. 2025 Nov 25:S1473-3099(25)00619-X.
背景: 発熱性好中球減少症(FN)は、血液悪性腫瘍患者や造血幹細胞移植後の患者において、生命を脅かす感染症につながる可能性があります。感染症の管理は、抗菌薬耐性の増加や細菌疫学の地域差によって困難になっています。
研究デザイン: 第10回欧州白血病感染症会議(ECIL-10)のパネルによる、地域の耐性パターンと個々のリスク因子に基づいた個別化アプローチの推奨策定。
結果: 地域の耐性菌有病率が低い環境において、血行動態が安定しており、耐性グラム陰性菌による保菌や感染がない患者に対しては、カルバペネム系やβ-ラクタマーゼ阻害薬(BLI)を併用/非併用した新規β-ラクタム系薬を温存(使用回避)した経験的単剤療法が推奨されます。一方、重症または血行動態が不安定な患者、過去に耐性グラム陰性菌の保菌・感染歴がある患者、あるいは耐性菌有病率が高い環境においては、より広域な治療が適応となります。治療選択肢には、β-ラクタム系とアミノグリコシド系の併用、BLI併用/非併用のカルバペネム系、抗緑膿菌セファロスポリンとBLIの併用、あるいはセフィデロコルが含まれ、地域の疫学と患者因子によって個別化されます。
結論: 抗菌薬適正使用(スチュワードシップ)が推奨され、これには耐性グラム陰性菌感染が除外された時点での抗菌薬のデスカレーション(広域から狭域への変更)が含まれます。また、予定された治療コースを完了し、解熱かつ安定している患者においては、好中球数に関わらず抗菌薬を中止することが推奨されます。耐性グラム陰性菌感染に対する治療戦略も提示されています。
研究デザイン: 第10回欧州白血病感染症会議(ECIL-10)のパネルによる、地域の耐性パターンと個々のリスク因子に基づいた個別化アプローチの推奨策定。
結果: 地域の耐性菌有病率が低い環境において、血行動態が安定しており、耐性グラム陰性菌による保菌や感染がない患者に対しては、カルバペネム系やβ-ラクタマーゼ阻害薬(BLI)を併用/非併用した新規β-ラクタム系薬を温存(使用回避)した経験的単剤療法が推奨されます。一方、重症または血行動態が不安定な患者、過去に耐性グラム陰性菌の保菌・感染歴がある患者、あるいは耐性菌有病率が高い環境においては、より広域な治療が適応となります。治療選択肢には、β-ラクタム系とアミノグリコシド系の併用、BLI併用/非併用のカルバペネム系、抗緑膿菌セファロスポリンとBLIの併用、あるいはセフィデロコルが含まれ、地域の疫学と患者因子によって個別化されます。
結論: 抗菌薬適正使用(スチュワードシップ)が推奨され、これには耐性グラム陰性菌感染が除外された時点での抗菌薬のデスカレーション(広域から狭域への変更)が含まれます。また、予定された治療コースを完了し、解熱かつ安定している患者においては、好中球数に関わらず抗菌薬を中止することが推奨されます。耐性グラム陰性菌感染に対する治療戦略も提示されています。