注目論文:英国75-79歳におけるRSVワクチンの入院予防効果(RWE)
呼吸器内科
2024年9月から英国で開始されたRSVワクチン(2価pre-F)の定期接種プログラムからの、極めて重要な早期RWE(実臨床エビデンス)です。75-79歳という特定年齢層において、入院予防効果(VE)が82.3%と臨床試験に匹敵する高い数値を示しました。特筆すべきは、単なる肺炎だけでなく、COPDや心不全の「増悪」に対しても約77-79%の有効性を示し、免疫不全者でも72.8%と高い効果を維持した点です。併存疾患を多く抱える高齢者において、ワクチンの恩恵が確実に届いていることを証明する強力なデータです。
Vaccine effectiveness of a bivalent respiratory syncytial virus (RSV) pre-F vaccine against RSV-associated hospital admission among adults aged 75-79 years in England: a multicentre, test-negative, case-control study 英国の75-79歳成人におけるRSV関連入院に対する2価RSVプレFワクチンの有効性:多施設共同陰性症例対照研究 Symes R, Whitaker HJ, Ahmad S, et al. Lancet Infect Dis. 2025 Oct 27:S1473-3099(25)00546-8
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41167207/
背景: 英国では2024年9月1日より、高齢者を対象とした2価プレFワクチンを用いたRSVワクチン接種プログラムが導入されました。RSV関連の呼吸器入院全般に対するワクチン有効性は報告されていますが、慢性疾患の増悪など、異なる病態に対する有効性に関するデータは乏しい状況でした。
研究デザイン: 英国の14病院にまたがる急性呼吸器感染症(ARI)センチネルサーベイランス(HARISS)システムのデータを用いた、多施設共同陰性症例対照研究(Test-negative design)です。ARIで入院(24時間以上)し、48時間以内に分子診断検査を受けた75-79歳のワクチン接種適格者を対象としました。症例群はRSV陽性、対照群はRSV・インフルエンザ・SARS-CoV-2陰性としました。主要評価項目はRSV関連ARIによる入院としました。
結果: 2024年10月から2025年3月の間に、1,006名の高齢者がARIで入院しました(RSV陽性173名、陰性対照833名)。RSV関連ARI入院に対するワクチン有効性(VE)は82.3%(95% CI 70.6-90.0)でした。酸素投与を要する重症疾患に対しては86.7%(75.4-93.6)、下気道感染症(肺炎含む)に対しては88.6%(75.6-95.6)でした。さらに、慢性肺疾患の増悪による入院に対するVEは77.4%(42.4-92.8)、慢性心疾患・肺疾患・フレイルの増悪に対しては78.8%(47.8-93.0)でした。免疫不全者においてもVEは72.8%(39.5-89.3)と有効性が認められました。
結論: 本研究は、RSVプレFワクチンが、慢性疾患の増悪や免疫不全を有する成人を含め、RSV関連入院に対して高い有効性を持つことを示すエビデンスを提供しました。
研究デザイン: 英国の14病院にまたがる急性呼吸器感染症(ARI)センチネルサーベイランス(HARISS)システムのデータを用いた、多施設共同陰性症例対照研究(Test-negative design)です。ARIで入院(24時間以上)し、48時間以内に分子診断検査を受けた75-79歳のワクチン接種適格者を対象としました。症例群はRSV陽性、対照群はRSV・インフルエンザ・SARS-CoV-2陰性としました。主要評価項目はRSV関連ARIによる入院としました。
結果: 2024年10月から2025年3月の間に、1,006名の高齢者がARIで入院しました(RSV陽性173名、陰性対照833名)。RSV関連ARI入院に対するワクチン有効性(VE)は82.3%(95% CI 70.6-90.0)でした。酸素投与を要する重症疾患に対しては86.7%(75.4-93.6)、下気道感染症(肺炎含む)に対しては88.6%(75.6-95.6)でした。さらに、慢性肺疾患の増悪による入院に対するVEは77.4%(42.4-92.8)、慢性心疾患・肺疾患・フレイルの増悪に対しては78.8%(47.8-93.0)でした。免疫不全者においてもVEは72.8%(39.5-89.3)と有効性が認められました。
結論: 本研究は、RSVプレFワクチンが、慢性疾患の増悪や免疫不全を有する成人を含め、RSV関連入院に対して高い有効性を持つことを示すエビデンスを提供しました。