注目論文:RSVワクチンの効果は2シーズン続くか?(米国退役軍人データ)
呼吸器内科
RSVワクチンの「効果持続期間」と「追加接種の必要性」は、呼吸器内科医にとって現在最大の関心事の一つです。本研究は米国退役軍人の大規模データを用い、2シーズン(約18ヶ月)にわたる有効性を検証しました。全体として有効性は維持されているものの、経時的な減衰、特に免疫不全者における顕著な低下(約40%まで低下)が確認された点は見逃せません。現在は「生涯1回接種」が基本推奨ですが、ハイリスク群に対するブースター接種の議論を加速させる、ガイドライン改訂に直結する重要なエビデンスです。
Durability of Respiratory Syncytial Virus Vaccine Effectiveness Among US Veterans 米国退役軍人におけるRSVワクチンの有効性の持続性 Bajema KL, Bui DP, Yan L, et al. JAMA Intern Med. 2025 Nov 24:e256355
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41284307/
背景: 高齢者および重症化リスクの高い成人に対し、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチンの単回接種が推奨されています。しかし、RSVワクチンの長期的な有効性に関する臨床情報は不足しています。
研究デザイン: 退役軍人保健局(VHA)のデータを用いた標的トライアルエミュレーション(Target trial emulation)を実施しました。2023年9月から2024年3月までにRSVワクチン接種適格となった60歳以上の退役軍人を対象としました。組換え安定化プレフュージョンFタンパク質RSVワクチンの単回接種群と非接種群を比較しました。
結果: ワクチン接種者288,111名が、対照者1,075,893名(重み付け後576,222名相当)とマッチングされ、中央値15.8ヶ月間追跡されました。 文書化されたRSV感染に対するワクチン有効性(VE)は、接種後0-1ヶ月の82.5%(95% CI 77.5-86.9%)から、0-18ヶ月の追跡期間全体では59.4%(95% CI 55.6-63.5%)へと低下しました。 同期間において、救急受診に対するVEは84.9%から60.5%へ、入院に対するVEは88.9%から57.3%へと低下しました。 特に免疫不全者においては、感染に対する防御効果が75.2%から39.7%(95% CI 23.9-52.7%)へと著しく低下しました。
結論: RSVワクチンはRSV疾患および関連する医療利用の予防に有効でしたが、その防御効果は2シーズンにわたり低下しました。この低下は特に免疫不全者で顕著であり、特定のリスク群においては追加接種が有益である可能性を検討する必要性が示唆されました。
研究デザイン: 退役軍人保健局(VHA)のデータを用いた標的トライアルエミュレーション(Target trial emulation)を実施しました。2023年9月から2024年3月までにRSVワクチン接種適格となった60歳以上の退役軍人を対象としました。組換え安定化プレフュージョンFタンパク質RSVワクチンの単回接種群と非接種群を比較しました。
結果: ワクチン接種者288,111名が、対照者1,075,893名(重み付け後576,222名相当)とマッチングされ、中央値15.8ヶ月間追跡されました。 文書化されたRSV感染に対するワクチン有効性(VE)は、接種後0-1ヶ月の82.5%(95% CI 77.5-86.9%)から、0-18ヶ月の追跡期間全体では59.4%(95% CI 55.6-63.5%)へと低下しました。 同期間において、救急受診に対するVEは84.9%から60.5%へ、入院に対するVEは88.9%から57.3%へと低下しました。 特に免疫不全者においては、感染に対する防御効果が75.2%から39.7%(95% CI 23.9-52.7%)へと著しく低下しました。
結論: RSVワクチンはRSV疾患および関連する医療利用の予防に有効でしたが、その防御効果は2シーズンにわたり低下しました。この低下は特に免疫不全者で顕著であり、特定のリスク群においては追加接種が有益である可能性を検討する必要性が示唆されました。