注目論文:末期肺疾患(ELD)患者におけるサルコペニアの有病率とその要因
呼吸器内科
末期肺疾患(ELD)患者の約3割(31.6%)がサルコペニアを合併しているというメタ解析の結果は、我々の臨床感覚とも合致します。特に注目すべきは、欧米人と比較して「アジア人」で有病率が高い点、そしてIPF/ILDよりも「COPD」で頻度が高いという点です。これは本邦の日常診療において、呼吸不全管理における栄養療法と呼吸リハビリテーションがいかに重要かを物語っています。診断基準(AWGS2019など)や測定法によるばらつきはありますが、ELD患者を見たらまずは筋肉量減少を疑い、早期介入につなげることがQOL維持の鍵となります。
Sarcopenia in end-stage lung disease patients: a systematic review and meta-analysis 末期肺疾患患者におけるサルコペニア:システマティックレビューとメタ解析 Sheng L, Gu P, Cai L, Zhu Y, Dong M, Zeng F. Front Med (Lausanne). 2025 Oct 3;12:1640027.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41114038/
背景: サルコペニアは通常、高齢者の加齢に伴う疾患ですが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)、肺高血圧症などの末期肺疾患(ELD)患者にも影響を及ぼし、病気の進行や臨床転帰に重大な影響を与えます。現在、筋肉量評価によるサルコペニアの定量化には様々な方法があります。本研究は、メタ解析を用いてELD患者におけるサルコペニアの有病率を評価し、その影響因子と臨床的意義を探ることを目的としました。
研究デザイン: PubMed、Web of Science、Embase、Cochrane Library、CINAHL、Scopusを含む英語データベースでシステマティックサーチを実施しました。2名の研究者がJBIチェックリストを用いて研究の質を独立して評価しました。24の横断研究(患者数6,800名)が含まれ、変量効果モデルを用いてELD患者におけるサルコペニアの統合有病率を算出しました。
結果: ELD患者におけるサルコペニアの統合有病率は31.6%(95% CI: 26.5-36.8%)でした。サブグループ解析の結果、70歳以上(vs 70歳未満)、男性(vs 女性)、AWGS2019基準での診断(vs その他の基準)、DXA法による測定(vs BIA法)、アジア人集団(vs 欧米集団)、COPD患者(vs IPF/ILD患者)において、サルコペニアの有病率が高いことが明らかになりました。
結論: サルコペニアはELD患者において一般的であり、その有病率は複数の影響因子により集団間で異なります。サルコペニアの発生を減らし、QOLを向上させるために、これらの因子に基づいた標的化された介入戦略(栄養・リハビリなど)を実施することが推奨されます。
研究デザイン: PubMed、Web of Science、Embase、Cochrane Library、CINAHL、Scopusを含む英語データベースでシステマティックサーチを実施しました。2名の研究者がJBIチェックリストを用いて研究の質を独立して評価しました。24の横断研究(患者数6,800名)が含まれ、変量効果モデルを用いてELD患者におけるサルコペニアの統合有病率を算出しました。
結果: ELD患者におけるサルコペニアの統合有病率は31.6%(95% CI: 26.5-36.8%)でした。サブグループ解析の結果、70歳以上(vs 70歳未満)、男性(vs 女性)、AWGS2019基準での診断(vs その他の基準)、DXA法による測定(vs BIA法)、アジア人集団(vs 欧米集団)、COPD患者(vs IPF/ILD患者)において、サルコペニアの有病率が高いことが明らかになりました。
結論: サルコペニアはELD患者において一般的であり、その有病率は複数の影響因子により集団間で異なります。サルコペニアの発生を減らし、QOLを向上させるために、これらの因子に基づいた標的化された介入戦略(栄養・リハビリなど)を実施することが推奨されます。