注目論文：低資源地域における市中肺炎に対する副腎皮質ステロイド療法の効果
呼吸器内科
市中肺炎（CAP）に対する副腎皮質ステロイド（グルココルチコイド）の補助療法は、高資源地域では重症患者の死亡率低下に寄与する可能性が示唆されてきましたが、診断・治療設備が限られた低資源地域での効果は不明でした。本ケニアでの大規模な実用的なランダム化比較試験（RCT）は、低用量の経口ステロイドの追加が、CAP患者の30日死亡リスクを16%低下させたという、非常に重要なエビデンスを示しました（HR 0.84）。死亡率が20%を超える比較的重症な患者群におけるこの効果は、リソースが限られた状況でのCAP治療戦略に大きな影響を与えます。有害事象の頻度も同程度であり、この結果は、低資源地域におけるCAP治療の標準ケアを見直すきっかけとなるでしょう。
A Pragmatic Trial of Glucocorticoids for Community-Acquired Pneumonia
市中肺炎に対するグルココルチコイドの実用的な治験
Lucinde RK, Gathuri H, Mwaniki P, Orindi B, Otieno EO, Mwakio S, Mulemi L, Isaaka L, Shangala J, Saisi M, Isinde E, Oginga IN, Wachira AW, Manuthu E, Kariuki H, Asaava P, Nyikuli J, Wekesa C, Otedo A, Bosire H, Okoth SB, Ongalo W, Mukabi DM, Lusamba W, Muthui B, Adembesa I, Mithi C, Sood M, Aliyan NA, Gituma B, Matiko MG, Omondi CA, Ombajo LA, Kirui N, Ochola L, Abdi AI, Kagucia EW, English M, Hamaluba M, Ochola-Oyier I, Kamuya D, Bejon P, Barasa E, Agweyu A, Akech S, Etyang AO.
N Engl J Med. 2025 Oct 29. PMID: 41159889.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41159889/
市中肺炎に対するグルココルチコイドの実用的な治験
Lucinde RK, Gathuri H, Mwaniki P, Orindi B, Otieno EO, Mwakio S, Mulemi L, Isaaka L, Shangala J, Saisi M, Isinde E, Oginga IN, Wachira AW, Manuthu E, Kariuki H, Asaava P, Nyikuli J, Wekesa C, Otedo A, Bosire H, Okoth SB, Ongalo W, Mukabi DM, Lusamba W, Muthui B, Adembesa I, Mithi C, Sood M, Aliyan NA, Gituma B, Matiko MG, Omondi CA, Ombajo LA, Kirui N, Ochola L, Abdi AI, Kagucia EW, English M, Hamaluba M, Ochola-Oyier I, Kamuya D, Bejon P, Barasa E, Agweyu A, Akech S, Etyang AO.
N Engl J Med. 2025 Oct 29. PMID: 41159889.
背景：補助的なグルココルチコイド（副腎皮質ステロイド）は、医療資源が豊富な環境における重症市中肺炎（CAP）患者の死亡率を低下させる可能性があります。しかし、診断・治療施設が限られた低資源地域において、これらの薬剤が有益であるかどうかは不明でした。
研究デザイン：ケニアの公立病院18施設で実施された、実用的な（Pragmatic）、非盲検（open-label）、ランダム化比較試験（RCT）です。グルココルチコイドの明確な適応がないCAPと診断された成人患者を、CAPの標準ケアを受ける群と、標準ケアに加えて10日間の経口低用量グルココルチコイドを投与される群にランダムに割り付けました。主要評価項目は、登録後30日以内の全死因死亡でした。
結果：合計2,180名の患者がランダム化されました（グルココルチコイド群1,089名、標準ケア群1,091名）。患者の年齢中央値は53歳（四分位範囲38～72歳）で、46%が女性でした。30日時点で、530名の患者（24.3%）の死亡が報告されました。内訳は、グルココルチコイド群で246名（22.6%）、標準ケア群で284名（26.0%）でした（ハザード比 [HR], 0.84; 95%信頼区間 [CI], 0.73 to 0.97; $P = 0.02$）。有害事象および**重篤な有害事象（SAE）**の頻度は、両群で類似していました。グルココルチコイド投与に関連すると見なされた重篤な有害事象は5名（0.5%）で発生しました。
結論：低資源地域におけるCAP患者において、補助的なグルココルチコイド療法は、標準ケアと比較して死亡リスクの低下と関連していました。（Wellcome Trust他による資金提供; SONIA PACTR登録番号, PACTR202111481740832; ISRCTN登録番号, ISRCTN36138594.）
研究デザイン：ケニアの公立病院18施設で実施された、実用的な（Pragmatic）、非盲検（open-label）、ランダム化比較試験（RCT）です。グルココルチコイドの明確な適応がないCAPと診断された成人患者を、CAPの標準ケアを受ける群と、標準ケアに加えて10日間の経口低用量グルココルチコイドを投与される群にランダムに割り付けました。主要評価項目は、登録後30日以内の全死因死亡でした。
結果：合計2,180名の患者がランダム化されました（グルココルチコイド群1,089名、標準ケア群1,091名）。患者の年齢中央値は53歳（四分位範囲38～72歳）で、46%が女性でした。30日時点で、530名の患者（24.3%）の死亡が報告されました。内訳は、グルココルチコイド群で246名（22.6%）、標準ケア群で284名（26.0%）でした（ハザード比 [HR], 0.84; 95%信頼区間 [CI], 0.73 to 0.97; $P = 0.02$）。有害事象および**重篤な有害事象（SAE）**の頻度は、両群で類似していました。グルココルチコイド投与に関連すると見なされた重篤な有害事象は5名（0.5%）で発生しました。
結論：低資源地域におけるCAP患者において、補助的なグルココルチコイド療法は、標準ケアと比較して死亡リスクの低下と関連していました。（Wellcome Trust他による資金提供; SONIA PACTR登録番号, PACTR202111481740832; ISRCTN登録番号, ISRCTN36138594.）