肺炎球菌ワクチン戦略が大きく変わります。これまでPCV13（13価）とPPSV23（23価）の逐次接種が推奨されてきましたが、PCV20（20価）の登場で状況が整理されました。本レビューでは、65歳以上の成人へのPCV20単回接種、およびPCV13/PPSV23既接種者へのPCV20ブースター単回接種が推奨されています。

PCV13よりカバー血清型が広く、PPSV23より免疫原性が期待できるPCV20が今後の主流となるでしょう。COPDや喘息など、呼吸器疾患患者への接種戦略もシンプルになり、実臨床での適用が容易になることが期待されます。

背景： 肺炎球菌（Streptococcus pneumoniae）は、特に高齢者や特定の基礎疾患を持つ人々において、細菌性肺炎、菌血症、髄膜炎の一般的な原因菌です。莢膜多糖類の構成が異なる肺炎球菌血清型を区別し、市販ワクチンの標的となっています。20価肺炎球菌結合型ワクチン（PCV20）は2021年に導入され、PCV13に比べて7つ、PCV15に比べて5つ多くの血清型に対する防御を提供し、侵襲性肺炎球菌疾患（IPD）や市中肺炎を引き起こす一般的な血清型に対するカバー率を向上させました。本ナラティブ・レビューは、成人およびリスク集団に焦点を当て、さまざまな国における肺炎球菌ワクチン接種の現在の推奨事項、安全性、忍容性、費用対効果を要約します。

研究デザイン： PCV20に関する関連論文、研究、推奨を収集するため、PubMed、Scopus、および政府のウェブサイトで既存の文献の包括的な検索が実施されました。概要を提供するために情報が要約されました。

結果： 65歳以上の成人に対する推奨では、PCV20の単回接種、および過去にPCV13またはPPSV23の接種を受けた人々に対するPCV20の単回ブースター接種の使用が支持されています。PCV20の投与は、PCV13またはPPSV23のワクチン接種スケジュールを完了していない人々にも推奨されます。いくつかの国では最近、IPDを発症するリスクが高い成人および小児のワクチン接種にPCV20を含めています。

結論： PCV20の有効性、安全性、費用対効果は、基礎疾患を持つ人々を含むすべての年齢層にわたる侵襲性および非侵襲性肺炎球菌疾患の予防における使用を支持しています。