注目論文:EUの成人肺炎球菌ワクチン戦略:推奨と公費負担に大きな格差
呼吸器内科
肺炎球菌は市中肺炎の主要な起炎菌であり、特に高齢者やリスク群でのワクチン接種は重要です。本研究はEU 27カ国における成人肺炎球菌ワクチンの方針を調査したものです。85%の国でプログラム自体は存在するものの、対象者(65歳以上、リスク群)やワクチンの種類、そして特に公費負担(6カ国は推奨するも公費負担なし)に大きなばらつきがあることが示されました。日本でも高齢者へのPCV(結合型ワクチン)とPPSV23(莢膜ポリサッカライドワクチン)の使い分けや定期接種のスケジュールが議論されていますが、欧州でも同様に戦略の最適化と均てん化が課題であると分かります。各国の方針の違いが実際の疾病負担にどう影響するか、さらなる解析が待たれます。
Pneumococcal vaccination offer and schedules in adults in EU countries: An update EU諸国における成人肺炎球菌ワクチンの提供とスケジュールの最新情報 Chiavarini M, Boccalini S, Bechini A, et al. Hum Vaccin Immunother. 2025 Dec;21(1):2563953.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41182127/
背景: 肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は、欧州の若年層および高齢者層における罹患および死亡の主要な原因です。すべてのEU諸国が小児ワクチン接種プログラムを確立している一方で、成人へのワクチン接種方針は国によって大きく異なります。
研究デザイン: 本研究は、ECDC、WHO、各国の保健機関ウェブサイトなどの公式情報源から2024年12月までに収集されたデータを用い、EU加盟27カ国における成人の肺炎球菌ワクチン接種戦略を分析しました。データは2名の研究者によって独立して編集・レビューされ、上級専門家によって最終検証されました。
結果: 23カ国(85.2%)が成人向けワクチン接種プログラムを導入していました。しかし、ワクチンの種類、対象群、推奨または義務化の程度に関して、大きな相違が存在しました。65歳以上の健常成人への接種は21カ国で推奨され、リスクを有する個人へは17カ国で推奨されていました。21カ国が推奨している一方で、6カ国は公的資金による助成を提供していませんでした。
結論: これらの不一致は、欧州において、より調和の取れた包括的な成人ワクチン接種戦略の必要性を浮き彫りにしています。
研究デザイン: 本研究は、ECDC、WHO、各国の保健機関ウェブサイトなどの公式情報源から2024年12月までに収集されたデータを用い、EU加盟27カ国における成人の肺炎球菌ワクチン接種戦略を分析しました。データは2名の研究者によって独立して編集・レビューされ、上級専門家によって最終検証されました。
結果: 23カ国(85.2%)が成人向けワクチン接種プログラムを導入していました。しかし、ワクチンの種類、対象群、推奨または義務化の程度に関して、大きな相違が存在しました。65歳以上の健常成人への接種は21カ国で推奨され、リスクを有する個人へは17カ国で推奨されていました。21カ国が推奨している一方で、6カ国は公的資金による助成を提供していませんでした。
結論: これらの不一致は、欧州において、より調和の取れた包括的な成人ワクチン接種戦略の必要性を浮き彫りにしています。