注目論文:COPDのLTOT患者における酸素自動滴定はADL能力を改善する
呼吸器内科
在宅酸素療法(LTOT)中のCOPD患者は、安静時の流量設定では労作時に低酸素血症をきたし、呼吸困難と活動性低下を招くことが臨床的な課題です。本研究は、従来の固定流量と、SpO2 90-94%を目標に自動で流量を調節するクローズドループシステムを比較した二重盲検クロスオーバー試験(RCT)です。結果、自動調節群はADLテスト(GlittreADL)の所要時間が有意に短縮(中央値38秒)し、呼吸困難感も軽減しました。注目すべきは、自動調節中の酸素流量は平均5.4L/minと、固定流量(1.6L/min)の3倍以上に達した点です。労作時の低酸素血症を許容せず、十分な酸素化を維持することがADL改善に直結するという、臨床的に重要なエビデンスです。
Optimised oxygenation improves functional capacity during daily activities in patients with COPD on long-term oxygen therapy: a randomised crossover trial. 長期酸素療法(LTOT)を受けているCOPD患者において、最適化された酸素化は日常生活動作(ADL)中の機能的能力を改善する:ランダム化クロスオーバー試験 Kofod LM, Hansen EF, Brocki BC, Kristensen MT, Roberts NB, Westerdahl E. Thorax. 2025 Oct 15;80(11):803-809.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40473413/
背景: 長期酸素療法(LTOT)を受けている慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、最大下歩行試験中の低酸素血症を最小限に抑えることは、運動耐容能および呼吸困難に対して良好な効果をもたらします。しかし、日常のタスク中に酸素化を最適化する影響は未だ調査されていません。そこで我々は、従来の固定酸素流量と比較して、自動酸素滴定を用いて目標飽和度を維持することが日常生活動作(ADL)に与える影響を調査しました。
研究デザイン: 二重盲検ランダム化クロスオーバー試験において、LTOT中のCOPD患者が、(1)各自の固定酸素量、(2)末梢血酸素飽和度(SpO2)90-94%を目標に0~8 L/minで調整された流量、の2条件を用いて、日常生活の機能的能力を評価するGlittreADLテストを2回実施しました。クローズドループデバイスが、Bluetoothリストパルスオキシメータからの情報に基づき酸素を自動的に滴定しました。
結果: 31名の患者(平均±SD年齢:72.8±5.9歳、1秒量の予測値%:36.7±12.7)が組み入れられました。患者は、固定酸素流量と比較して自動滴定を用いることにより、ADLテストの実施時間を中央値(IQR)38(12-73)秒短縮しました(p<0.001)。試験中の酸素流量は、自動調節群では固定群の1.6(1.1-2.1)L/minに対し5.4(4.1-6.8)L/minと3倍以上に増加し(p<0.001)、SpO2目標範囲内の時間は19%から49%に増加しました(p=0.002)。これに対応し、患者が経験した呼吸困難(BorgCR10)も、自動酸素滴定群の方が5(3-7)対6(4-8)と少なく(p<0.001)、自動酸素滴定に有利な結果でした。
結論: LTOT中のCOPD患者において、酸素化を改善し目標飽和度内の時間を延長することは、呼吸困難を軽減し、ADLにおける機能的能力を改善しました。
研究デザイン: 二重盲検ランダム化クロスオーバー試験において、LTOT中のCOPD患者が、(1)各自の固定酸素量、(2)末梢血酸素飽和度(SpO2)90-94%を目標に0~8 L/minで調整された流量、の2条件を用いて、日常生活の機能的能力を評価するGlittreADLテストを2回実施しました。クローズドループデバイスが、Bluetoothリストパルスオキシメータからの情報に基づき酸素を自動的に滴定しました。
結果: 31名の患者(平均±SD年齢:72.8±5.9歳、1秒量の予測値%:36.7±12.7)が組み入れられました。患者は、固定酸素流量と比較して自動滴定を用いることにより、ADLテストの実施時間を中央値(IQR)38(12-73)秒短縮しました(p<0.001)。試験中の酸素流量は、自動調節群では固定群の1.6(1.1-2.1)L/minに対し5.4(4.1-6.8)L/minと3倍以上に増加し(p<0.001)、SpO2目標範囲内の時間は19%から49%に増加しました(p=0.002)。これに対応し、患者が経験した呼吸困難(BorgCR10)も、自動酸素滴定群の方が5(3-7)対6(4-8)と少なく(p<0.001)、自動酸素滴定に有利な結果でした。
結論: LTOT中のCOPD患者において、酸素化を改善し目標飽和度内の時間を延長することは、呼吸困難を軽減し、ADLにおける機能的能力を改善しました。