注目論文:市中肺炎(CAP)の診断、治療、長期合併症に関する最新レビュー
呼吸器内科
Lancetに掲載された市中肺炎(CAP)に関する包括的なレビューです。CAPは日常診療で最も頻繁に遭遇する呼吸器感染症の一つであり、その重要性は論を俟ちません。本総説では、診断におけるNAATs(核酸増幅検査)や肺エコー(POCUS)の役割、議論のあるステロイドなどの補助療法の位置づけ、そして急性期後の心血管イベントや認知機能低下といった長期合併症の重要性まで、最新の知見が網羅的にまとめられています。特に、CAPを単なる急性感染症としてだけでなく、長期的な予後にも影響を与える疾患として捉え直す視点は重要です。日常診療で頻繁に遭遇する疾患だからこそ、こうした最新のエビデンスを整理し、実臨床にどう活かすかを考える上で非常に有用な総説と言えます。
Community-acquired pneumonia
市中肺炎
Reyes LF, Conway Morris A, Serrano-Mayorga C, Derde LPG, Dickson RP, Martin-Loeches I.
Lancet. 2025 Oct 16:S0140-6736(25)01493-X.
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(25)01493-X/abstract
市中肺炎
Reyes LF, Conway Morris A, Serrano-Mayorga C, Derde LPG, Dickson RP, Martin-Loeches I.
Lancet. 2025 Oct 16:S0140-6736(25)01493-X.
要旨 (※本論文は総説(レビュー)であり、アブストラクトは研究の背景・方法・結果・結論という形式ではないため、要旨として以下にまとめる。)
市中肺炎(CAP)は、高齢者、免疫不全者、慢性疾患患者、幼児などの脆弱な集団に偏って影響を与える世界的な主要な健康課題である。かつては急性の病気とのみ考えられていたが、現在では心血管イベント、呼吸機能障害、認知機能低下などの長期合併症を伴う疾患として認識されている。核酸増幅検査(NAATs)やポイントオブケア肺超音波検査(POCUS)の普及といった進歩により、迅速な病原体検出と個別化治療が可能になりつつある。しかし、NAATs、肺エコー、血清バイオマーカーの臨床現場での役割については、依然として大きな不確実性が残っている。抗菌薬はCAP治療の根幹であるが、コルチコステロイドや免疫調節薬を含む補助療法の役割は未だ完全には定義されていない。包括的なCAP管理では、個別化治療、急性期後のリハビリテーション、定期的な心血管スクリーニング、およびワクチン接種などの予防策の強化が重視される。精密医療が進歩するにつれ、診断法と個別化された治療法を統合することが、予後を改善し、CAPの世界的な疾病負荷を軽減することにつながるだろう。
市中肺炎(CAP)は、高齢者、免疫不全者、慢性疾患患者、幼児などの脆弱な集団に偏って影響を与える世界的な主要な健康課題である。かつては急性の病気とのみ考えられていたが、現在では心血管イベント、呼吸機能障害、認知機能低下などの長期合併症を伴う疾患として認識されている。核酸増幅検査(NAATs)やポイントオブケア肺超音波検査(POCUS)の普及といった進歩により、迅速な病原体検出と個別化治療が可能になりつつある。しかし、NAATs、肺エコー、血清バイオマーカーの臨床現場での役割については、依然として大きな不確実性が残っている。抗菌薬はCAP治療の根幹であるが、コルチコステロイドや免疫調節薬を含む補助療法の役割は未だ完全には定義されていない。包括的なCAP管理では、個別化治療、急性期後のリハビリテーション、定期的な心血管スクリーニング、およびワクチン接種などの予防策の強化が重視される。精密医療が進歩するにつれ、診断法と個別化された治療法を統合することが、予後を改善し、CAPの世界的な疾病負荷を軽減することにつながるだろう。