注目論文:オセルタミビルの市販薬(OTC)化は妥当か?

呼吸器内科
海外におけるオセルタミビルのOTC化(市販薬化)に関する論考です。インフルエンザ治療は発症後48時間以内の開始が鍵であり、OTC化は受診の手間を省き、早期治療へのアクセスを格段に向上させる可能性があります。特にパンデミック下では医療リソースの適正化にも寄与するでしょう。一方で、懸念されるのは耐性ウイルスの出現や、インフルエンザ以外の発熱への不適切な使用による副作用リスクです。本論文では、普及しつつある在宅迅速検査との組み合わせも含め、利点とリスクを整理しています。日本での即時導入はハードルが高いですが、薬剤師による処方(零売)やオンライン診療との連携など、アクセス改善の代替モデルを議論する上で重要な視点を提供してくれます。
Improving Access to Influenza Testing and Treatment: Is It Time for Over-the-counter Oseltamivir? インフルエンザの検査と治療へのアクセス改善:オセルタミビルの市販薬(OTC)化は妥当か? Lee K, Pavia AT, Englund JA. J Infect Dis. 2025 Oct 17;232(Supplement_3):S327-S332.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41102605/
背景: 1999年からインフルエンザの予防・治療に使用され、現在はジェネリック医薬品も入手可能な抗ウイルス薬オセルタミビルについて、処方箋なしで治療にアクセスできるようにするための市販薬(OTC)化が検討されており、議論を呼んでいる。在宅診断テストの普及が進み、インフルエンザパンデミックの脅威が常に存在する中、この論争を取り巻く問題を再検討する時期に来ている。

本論文の目的: この論考(Commentary)では、迅速なインフルエンザ治療へのアクセスを強化するために、オセルタミビルをOTC薬として再分類することの潜在的な利益とリスクを検討する。

議論の展開: さらに、迅速インフルエンザ検査を活用した、オセルタミビルへのアクセスを改善するための代替モデルについても探求する。今後、インフルエンザ治療のための新しい薬剤が安全かつ有効であると証明されれば、それらも同様の検討対象となるであろう。