注目論文:フレイルはCOPDの発症リスクであり、生命予後を短縮させる
呼吸器内科
COPDとフレイルの双方向性の関連は知られていますが、本研究はUK Biobankの巨大なデータを用いて、フレイル自体がCOPDの強力な発症リスク(ハザード比2.21)であり、生命予後を8年以上も短縮させることを明確に示しました。特に、COPDの前段階と見なされるPRISm(preserved ratio impaired spirometry)患者において、フレイルが発症リスクをさらに高めるという点は臨床的に重要です。呼吸器診療において、フレイルを単なる併存症ではなく、予防・介入すべき重要なターゲットとして認識する必要性を強く示唆するエビデンスです。
Association of Physical Frailty With Incidence and Life Expectancy of COPD: A Population-Based Cohort Study 身体的フレイルとCOPDの発生率および生命予後との関連:集団ベースのコホート研究 Liu C, Xiong H, Han X, Lv Y, Wang D, Hu J, Li Z, Ma X, Zhu Y, Xu S, Chen L. Chest. 2025 Oct;168(4):890-900
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40258513/
背景: フレイルとCOPDの双方向性の関係は報告されています。しかし、COPD発症におけるフレイルに対する遺伝的素因とPRISm(preserved ratio impaired spirometry)の複合的な影響を検討した縦断的研究は不足しています。
研究デザイン: 英国バイオバンクコホートから、ベースライン時にCOPDのない成人412,351名(平均年齢±SD、56.1±8.1歳; 男性44.3%)およびCOPD患者60,584名(平均年齢±SD、59.2±7.4歳; 男性55.1%)を対象としました。フレイルの表現型は、体重減少、疲労感、低身体活動、歩行速度の低下、握力の低下の5項目を用いて評価しました。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、遺伝的素因、PRISm、フレイルとCOPD発症との関連を評価しました。フレイルによる平均余命の短縮は、COPD患者における生命表法を用いて推定しました。
結果: 追跡期間中央値13.5年の間に、10,695件のCOPD新規発症が記録されました。多変量調整モデルにおいて、フレイルおよびプレフレイルはCOPDリスクの有意な増加と関連していました(フレイルのハザード比 2.21; 95% CI, 2.06-2.37、プレフレイルのハザード比 1.45; 95% CI, 1.39-1.51)。COPDの発症において、遺伝的素因とフレイルの間(交互作用のP = .0252)、およびPRISmとフレイルの間(交互作用のP = .0027)に有意な交互作用が観察されました。45歳時点のCOPD患者において、フレイルは非フレイルの患者と比較して、男性で8.49年、女性で7.67年の平均余命の短縮と関連していました。一方、プレフレイルはそれぞれ3.27年と2.78年の短縮と関連していました。
結論: 本研究の結果は、フレイルおよびプレフレイルがCOPDのリスクを増加させ、COPD患者の平均余命の短縮と関連することを示しており、COPDのリスク低減および治療戦略におけるフレイルの早期発見と管理の必要性を強調しています。
研究デザイン: 英国バイオバンクコホートから、ベースライン時にCOPDのない成人412,351名(平均年齢±SD、56.1±8.1歳; 男性44.3%)およびCOPD患者60,584名(平均年齢±SD、59.2±7.4歳; 男性55.1%)を対象としました。フレイルの表現型は、体重減少、疲労感、低身体活動、歩行速度の低下、握力の低下の5項目を用いて評価しました。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、遺伝的素因、PRISm、フレイルとCOPD発症との関連を評価しました。フレイルによる平均余命の短縮は、COPD患者における生命表法を用いて推定しました。
結果: 追跡期間中央値13.5年の間に、10,695件のCOPD新規発症が記録されました。多変量調整モデルにおいて、フレイルおよびプレフレイルはCOPDリスクの有意な増加と関連していました(フレイルのハザード比 2.21; 95% CI, 2.06-2.37、プレフレイルのハザード比 1.45; 95% CI, 1.39-1.51)。COPDの発症において、遺伝的素因とフレイルの間(交互作用のP = .0252)、およびPRISmとフレイルの間(交互作用のP = .0027)に有意な交互作用が観察されました。45歳時点のCOPD患者において、フレイルは非フレイルの患者と比較して、男性で8.49年、女性で7.67年の平均余命の短縮と関連していました。一方、プレフレイルはそれぞれ3.27年と2.78年の短縮と関連していました。
結論: 本研究の結果は、フレイルおよびプレフレイルがCOPDのリスクを増加させ、COPD患者の平均余命の短縮と関連することを示しており、COPDのリスク低減および治療戦略におけるフレイルの早期発見と管理の必要性を強調しています。