注目論文:進行性肺線維症(PPF)における抗線維化薬の効果:「治療抵抗性」が重要な鍵
呼吸器内科
非IPF性の間質性肺炎に対する抗線維化薬の最適な適応は、臨床現場での重要な課題です。この日本の多施設共同後ろ向き研究は、進行の定義によって抗線維化薬の効果が異なることを示唆しています。特に、ガイドラインで広く定義されるPPF全体では明確な生命予後改善効果が示されなかった一方、適切な既存治療にもかかわらず進行した「治療抵抗性」のPPF集団では、一貫した生存利益が認められました。これは、抗線維化薬の適応を考慮する上で、単に進行の事実だけでなく、その背景にある治療状況を評価することの重要性を強調する、実臨床に即した重要なエビデンスです。
Effectiveness of antifibrotic treatment in real-world patients with progressive pulmonary fibrosis
実臨床における進行性肺線維症患者に対する抗線維化療法の有効性
Niitsu T, Fukushima K, Komukai S, 他
Respir Med. 2025 Sep 9;248:108347.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40935264/
実臨床における進行性肺線維症患者に対する抗線維化療法の有効性
Niitsu T, Fukushima K, Komukai S, 他
Respir Med. 2025 Sep 9;248:108347.
目的:
抗線維化薬の使用基準として進行性肺線維症(PPF)が適切かどうかは依然として不確かです。我々は、進行性の非特発性肺線維症性間質性肺炎(non-IPF ILD)の異なる基準を持つ患者に対する抗線維化薬の有効性を評価することを目的としました。
研究デザイン:
この多施設共同後ろ向きコホート研究では、3つのコホートにおける抗線維化薬の効果を推定しました:INBUILD試験と同様に標準的な非抗線維化療法下で24ヶ月以内に進行が見られたPF-ILD、ATS/ERS/JRS/ALATガイドラインに基づき12ヶ月以内に進行が見られたPPF、そして適切な非抗線維化療法にもかかわらず進行が見られたPPFのサブセットであるPPF "despite management"です。解析にはパラメトリックG-formula、時間変動Coxハザードモデル、および逆確率重み付け法(IPW)を用いました。
結果:
non-IPF ILD患者1754名のうち、327名がPF-ILD(抗線維化薬134名、非使用193名)、567名がPPF(抗線維化薬149名、非使用418名)、326名がPPF "despite management"(抗線維化薬115名、非使用211名)と診断されました。パラメトリックG-formulaを用いた解析では、抗線維化療法はPF-ILDにおいて推定生存率の高さと関連しており、最初の3年間で統計的に有意な差が見られました。また、PPF "despite management"コホートでも一貫した生存利益が認められました。対照的に、PPFコホート全体では明確な生存利益は観察されませんでした。これらの結果は、時間変動CoxハザードモデルおよびIPW解析の結果とも一致していました。
結論:
我々の結果は、実臨床環境において抗線維化療法がPF-ILD患者の推定生存率の高さと関連していることを示しており、PPF診断における抗線維化療法の適格性基準として「治療にもかかわらず進行した(despite management)」という項目を含めることの重要性を示唆しています。
抗線維化薬の使用基準として進行性肺線維症(PPF)が適切かどうかは依然として不確かです。我々は、進行性の非特発性肺線維症性間質性肺炎(non-IPF ILD)の異なる基準を持つ患者に対する抗線維化薬の有効性を評価することを目的としました。
研究デザイン:
この多施設共同後ろ向きコホート研究では、3つのコホートにおける抗線維化薬の効果を推定しました:INBUILD試験と同様に標準的な非抗線維化療法下で24ヶ月以内に進行が見られたPF-ILD、ATS/ERS/JRS/ALATガイドラインに基づき12ヶ月以内に進行が見られたPPF、そして適切な非抗線維化療法にもかかわらず進行が見られたPPFのサブセットであるPPF "despite management"です。解析にはパラメトリックG-formula、時間変動Coxハザードモデル、および逆確率重み付け法(IPW)を用いました。
結果:
non-IPF ILD患者1754名のうち、327名がPF-ILD(抗線維化薬134名、非使用193名)、567名がPPF(抗線維化薬149名、非使用418名)、326名がPPF "despite management"(抗線維化薬115名、非使用211名)と診断されました。パラメトリックG-formulaを用いた解析では、抗線維化療法はPF-ILDにおいて推定生存率の高さと関連しており、最初の3年間で統計的に有意な差が見られました。また、PPF "despite management"コホートでも一貫した生存利益が認められました。対照的に、PPFコホート全体では明確な生存利益は観察されませんでした。これらの結果は、時間変動CoxハザードモデルおよびIPW解析の結果とも一致していました。
結論:
我々の結果は、実臨床環境において抗線維化療法がPF-ILD患者の推定生存率の高さと関連していることを示しており、PPF診断における抗線維化療法の適格性基準として「治療にもかかわらず進行した(despite management)」という項目を含めることの重要性を示唆しています。