注目論文:小児・思春期におけるSARS-CoV-2再感染はLong COVIDリスクを増大させる
呼吸器内科
COVID-19のパンデミックが落ち着きを見せる中でも、Long COVID(PASC)は依然として公衆衛生上の課題です。特に小児における再感染後のリスクは不明な点が多かったですが、本研究は、米国のRECOVERコンソーシアムの大規模電子カルテデータを用い、オミクロン株流行期における小児・思春期の再感染が、初回感染と比較してPASCの診断リスクを約2倍に高めることを明らかにしました。心筋炎や味覚・嗅覚異常、倦怠感など多岐にわたる症状リスクの上昇も示されており、若年層であっても再感染のリスクを軽視できないことを示す重要なエビデンスです。若年層へのワクチン接種を推進する重要性を改めて裏付ける研究と言えるでしょう。
Long COVID associated with SARS-CoV-2 reinfection among children and adolescents in the omicron era (RECOVER-EHR): a retrospective cohort study
オミクロン株流行期における小児および思春期世代のSARS-CoV-2再感染に伴うLong COVID(RECOVER-EHR):後ろ向きコホート研究
Zhang B, Wu Q, Jhaveri R, et al; RECOVER Consortium.
Lancet Infect Dis. 2025 Sep 30:S1473-3099(25)00476-1.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41043442/
オミクロン株流行期における小児および思春期世代のSARS-CoV-2再感染に伴うLong COVID(RECOVER-EHR):後ろ向きコホート研究
Zhang B, Wu Q, Jhaveri R, et al; RECOVER Consortium.
Lancet Infect Dis. 2025 Sep 30:S1473-3099(25)00476-1.
背景:
SARS-CoV-2感染後の後遺症(PASC)は、依然として大きな公衆衛生上の課題である。これまでの研究は初回感染後の小児・思春期におけるPASCの特性解明に焦点を当ててきたが、オミクロン株による再感染後のPASCリスクは不明であった。本研究の目的は、オミクロン株流行期におけるSARS-CoV-2再感染後の小児・思春期におけるPASC診断(U09.9)およびPASCに関連する可能性のある症状・病態のリスクを評価することである。
研究デザイン:
この後ろ向きコホート研究では、米国のRECOVERイニシアチブに参加する40の小児病院・医療機関のデータを使用した。対象は、コホート登録時に21歳未満で、2022年1月1日以降にSARS-CoV-2感染が記録された患者とした。2回目のSARS-CoV-2感染は、初回感染から60日以上経過した後の陽性検査または臨床診断によって確認した。主要評価項目は臨床医によるPASC診断(U09.9)とし、副次評価項目としてPASCに関連する可能性のある24の症状・病態を評価した。初回感染に対する2回目感染の相対リスク(RR)を、傾向スコアマッチング等で調整した修正ポアソン回帰モデルで推定した。
結果:
2022年1月1日から2023年10月13日の期間に、407,300人の初回感染者と58,417人の再感染者を同定した。PASC診断(U09.9)の発生率は、初回感染群に比べ再感染群で高かった(100万人・6ヶ月あたり903.7 vs 1883.7)。再感染は、PASC診断全体のリスク(RR 2.08, 95% CI 1.68–2.59)および、心筋炎、味覚・嗅覚の変化、血栓症、心疾患、急性腎障害、倦怠感、頭痛など、PASCに関連する可能性のある様々な症状・病態のリスクの有意な増加と関連していた(RR範囲 1.15–3.60)。
結論:
小児・思春期世代は、SARS-CoV-2の再感染後に様々なPASCアウトカムのリスクが有意に高くなる。これらの結果は、小児のLong COVIDが多系統に影響を及ぼすというこれまでのエビデンスを補強し、若年層へのワクチン接種の推進と、PASCの理解を深めるための継続的な研究の必要性を強調するものである。
SARS-CoV-2感染後の後遺症(PASC)は、依然として大きな公衆衛生上の課題である。これまでの研究は初回感染後の小児・思春期におけるPASCの特性解明に焦点を当ててきたが、オミクロン株による再感染後のPASCリスクは不明であった。本研究の目的は、オミクロン株流行期におけるSARS-CoV-2再感染後の小児・思春期におけるPASC診断(U09.9)およびPASCに関連する可能性のある症状・病態のリスクを評価することである。
研究デザイン:
この後ろ向きコホート研究では、米国のRECOVERイニシアチブに参加する40の小児病院・医療機関のデータを使用した。対象は、コホート登録時に21歳未満で、2022年1月1日以降にSARS-CoV-2感染が記録された患者とした。2回目のSARS-CoV-2感染は、初回感染から60日以上経過した後の陽性検査または臨床診断によって確認した。主要評価項目は臨床医によるPASC診断(U09.9)とし、副次評価項目としてPASCに関連する可能性のある24の症状・病態を評価した。初回感染に対する2回目感染の相対リスク(RR)を、傾向スコアマッチング等で調整した修正ポアソン回帰モデルで推定した。
結果:
2022年1月1日から2023年10月13日の期間に、407,300人の初回感染者と58,417人の再感染者を同定した。PASC診断(U09.9)の発生率は、初回感染群に比べ再感染群で高かった(100万人・6ヶ月あたり903.7 vs 1883.7)。再感染は、PASC診断全体のリスク(RR 2.08, 95% CI 1.68–2.59)および、心筋炎、味覚・嗅覚の変化、血栓症、心疾患、急性腎障害、倦怠感、頭痛など、PASCに関連する可能性のある様々な症状・病態のリスクの有意な増加と関連していた(RR範囲 1.15–3.60)。
結論:
小児・思春期世代は、SARS-CoV-2の再感染後に様々なPASCアウトカムのリスクが有意に高くなる。これらの結果は、小児のLong COVIDが多系統に影響を及ぼすというこれまでのエビデンスを補強し、若年層へのワクチン接種の推進と、PASCの理解を深めるための継続的な研究の必要性を強調するものである。