注目論文:高齢者における肺炎球菌ワクチンの入院・死亡リスク減少効果
呼吸器内科
高齢者への肺炎球菌ワクチン接種の有効性を検証した、400万人以上を含む大規模なシステマティックレビュー・メタ解析です。肺炎による入院だけでなく、全死亡率の低下にも関連することが示されました。特に併存疾患を有する患者や75歳以上の後期高齢者で効果が顕著であった点は、日常診療での接種推奨の強い後押しとなります。ただし、PPV23の研究は2000-2010年代など小児におけるPCV導入後の血清型置換が起こる前の研究のものが多く含まれているため、現在の状況に外挿するには注意が必要です。
Effectiveness of pneumococcal vaccination in reducing hospitalization and mortality among the elderly: A systematic review and meta-analysis
高齢者における入院および死亡率の減少に対する肺炎球菌ワクチンの有効性:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Bulkhi A, Khadawardi HA, Dairi MS, et al.
Hum Vaccin Immunother. 2025 Dec;21(1):2561315.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40988121/
高齢者における入院および死亡率の減少に対する肺炎球菌ワクチンの有効性:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Bulkhi A, Khadawardi HA, Dairi MS, et al.
Hum Vaccin Immunother. 2025 Dec;21(1):2561315.
背景:
このメタアナリシスは、高齢者における肺炎球菌ワクチンの入院および死亡を減少させる有効性を評価するものです。
研究デザイン:
2025年3月までにPubMed, Scopus, Embase, Cochraneから研究を検索しました。同定された3,002件の研究のうち35件(コホート30件, RCT3件, ケースコントロール2件)が選択基準を満たし、ワクチン接種者165万人、非接種者262万人が含まれました。
結果:
肺炎関連入院は、肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV)と13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV-13)を接種したサブグループ、特に75歳以上の個人や慢性疾患を有する患者で有意に減少しました。全原因入院も減少し(OR: 0.94; 95% CI: 0.91-0.97)、特に23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV-23)接種者、アジア人集団、併存疾患を有する患者で顕著でした。肺炎による死亡率は60歳以上の年齢層で減少し、全原因死亡率は60〜75歳の年齢層で減少しました。救急外来受診率には有意な影響は見られませんでした。
結論:
結果はワクチンの有効性を支持するものの、研究間の異質性が高いため、結果を確認するためにはさらなる比較試験が必要です。
このメタアナリシスは、高齢者における肺炎球菌ワクチンの入院および死亡を減少させる有効性を評価するものです。
研究デザイン:
2025年3月までにPubMed, Scopus, Embase, Cochraneから研究を検索しました。同定された3,002件の研究のうち35件(コホート30件, RCT3件, ケースコントロール2件)が選択基準を満たし、ワクチン接種者165万人、非接種者262万人が含まれました。
結果:
肺炎関連入院は、肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV)と13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV-13)を接種したサブグループ、特に75歳以上の個人や慢性疾患を有する患者で有意に減少しました。全原因入院も減少し(OR: 0.94; 95% CI: 0.91-0.97)、特に23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV-23)接種者、アジア人集団、併存疾患を有する患者で顕著でした。肺炎による死亡率は60歳以上の年齢層で減少し、全原因死亡率は60〜75歳の年齢層で減少しました。救急外来受診率には有意な影響は見られませんでした。
結論:
結果はワクチンの有効性を支持するものの、研究間の異質性が高いため、結果を確認するためにはさらなる比較試験が必要です。