注目論文:COVID-19後遺症(PCC)に対するメトホルミンの予防効果
呼吸器内科
COVID-19後遺症(PCC)に対するメトホルミンの予防効果を示唆する、英国の大規模な後ろ向きコホート研究です。肥満・過体重の患者において、COVID-19診断後早期にメトホルミンを開始することで、PCCのリスクが約64%低下する(HR 0.36)という結果でした。これは先行するRCT(COVID-OUT試験)の結果とも一致しており、エビデンスの再現性が高い点は注目に値します。観察研究であるため因果関係の断定はできませんが、安価で広く利用可能な薬剤がPCC予防の選択肢となる可能性を示す、非常に重要な報告と言えます。
Effect of Metformin on the Risk of Post-coronavirus Disease 2019 Condition Among Individuals With Overweight or Obese: A Population-based Retrospective Cohort Study
過体重または肥満の個人における2019年コロナウイルス感染症後症状(PCC)のリスクに対するメトホルミンの効果:集団ベースの後ろ向きコホート研究
Chaichana U, Man KKC, Ju C, Makaronidis J, Wei L.
Clin Infect Dis. 2025 Sep 1:ciaf429.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40887815/
過体重または肥満の個人における2019年コロナウイルス感染症後症状(PCC)のリスクに対するメトホルミンの効果:集団ベースの後ろ向きコホート研究
Chaichana U, Man KKC, Ju C, Makaronidis J, Wei L.
Clin Infect Dis. 2025 Sep 1:ciaf429.
背景:
COVID-OUT試験の長期アウトカムに関するサブグループ解析では、2019年コロナウイルス感染症(COVID-19)診断から3日以内にメトホルミンを開始することが、過体重または肥満の個人におけるCOVID-19後遺症(PCC)の発生率を63%減少させることが見出されました。しかし、その一般化可能性は依然として不確かです。
研究デザイン:
逐次的なターゲットトライアルエミュレーションのフレームワークを用いた後ろ向きコホート研究です。英国のプライマリケアデータ(Clinical Practice Research Datalink Aurumデータベース)の2020年3月から2023年7月までのデータを使用しました。過体重または肥満(BMI ≥ 25 kg/m²)で、SARS-CoV-2感染の記録がある成人を対象とし、過去1年以内のメトホルミン使用者や禁忌がある者は除外しました。アウトカムはPCCとし、PCCの診断コード、または診断後90日から365日の間にWHOがリストアップした症状が少なくとも1つあり、感染前180日以内にその症状の既往がない場合と定義しました。
結果:
624,308人の患者のうち、2,976人がCOVID-19診断後90日以内にメトホルミンを開始しました。Intention-to-treat解析におけるPCCの1年間のリスク差は-12.58%(ハザード比 0.36; 95%信頼区間, 0.32-0.41)であり、サブグループ解析でも一貫した結果が得られました。
結論:
過体重または肥満の個人における早期のメトホルミン治療は、PCCのリスクを減少させる可能性があります。因果関係を確認し、PCC管理におけるメトホルミンの役割を明らかにするためには、さらなる研究が必要です。
COVID-OUT試験の長期アウトカムに関するサブグループ解析では、2019年コロナウイルス感染症(COVID-19)診断から3日以内にメトホルミンを開始することが、過体重または肥満の個人におけるCOVID-19後遺症(PCC)の発生率を63%減少させることが見出されました。しかし、その一般化可能性は依然として不確かです。
研究デザイン:
逐次的なターゲットトライアルエミュレーションのフレームワークを用いた後ろ向きコホート研究です。英国のプライマリケアデータ(Clinical Practice Research Datalink Aurumデータベース)の2020年3月から2023年7月までのデータを使用しました。過体重または肥満(BMI ≥ 25 kg/m²)で、SARS-CoV-2感染の記録がある成人を対象とし、過去1年以内のメトホルミン使用者や禁忌がある者は除外しました。アウトカムはPCCとし、PCCの診断コード、または診断後90日から365日の間にWHOがリストアップした症状が少なくとも1つあり、感染前180日以内にその症状の既往がない場合と定義しました。
結果:
624,308人の患者のうち、2,976人がCOVID-19診断後90日以内にメトホルミンを開始しました。Intention-to-treat解析におけるPCCの1年間のリスク差は-12.58%(ハザード比 0.36; 95%信頼区間, 0.32-0.41)であり、サブグループ解析でも一貫した結果が得られました。
結論:
過体重または肥満の個人における早期のメトホルミン治療は、PCCのリスクを減少させる可能性があります。因果関係を確認し、PCC管理におけるメトホルミンの役割を明らかにするためには、さらなる研究が必要です。