注目論文:アレルギー疾患は肺がんの保護因子か?:系統的レビューとメタアナリシス
呼吸器内科
アレルギー疾患、特にアレルギー性鼻炎があると肺がんのリスクが低いという興味深いメタアナリシスです。古くからアトピー素因とがんの関連は議論されており、免疫監視機構が活性化されていることが背景にある可能性が指摘されています。本研究は10報の研究を統合し、全体としてオッズ比0.75と有意な負の相関を示しました。ただし、研究間の異質性(I2=74.4%)が高い点には注意が必要です。アレルギー疾患の定義や交絡因子の調整が各研究で異なる可能性があり、結果の解釈は慎重に行うべきでしょう。とはいえ、免疫とがんの関係を考える上で示唆に富む結果であり、今後のさらなる研究が期待されます。
Correlation between allergic diseases and lung cancer: a systematic review and meta-analysis
アレルギー疾患と肺がんの相関:系統的レビューとメタアナリシス
Yang K, Zhao H, Wang L, Cai C, Lv P, Wang B.
Front Med (Lausanne). 2025 Jul 16;12:1560000.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40740961/
アレルギー疾患と肺がんの相関:系統的レビューとメタアナリシス
Yang K, Zhao H, Wang L, Cai C, Lv P, Wang B.
Front Med (Lausanne). 2025 Jul 16;12:1560000.
背景:
本メタアナリシスは、アレルギー疾患と肺がんの潜在的な関連性を調査することを目的としています。
研究デザイン:
2024年10月8日までにPubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Scienceの各データベースで系統的検索を実施しました。データ解析はStata 14.0を用い、異質性(p>0.1, I2≤50% または I2>50%)に基づいて固定効果モデルまたはランダム効果モデルを採用しました。サブグループ分析および感度分析を行い、出版バイアスを評価しました。
結果:
10件の研究を解析した結果、アレルギー疾患と肺がんリスクとの間に負の相関が認められました(オッズ比[OR]: 0.75, 95%信頼区間[CI]: 0.66-0.85, I2=74.4%, p<0.001)。サブグループ解析では、湿疹は肺がんと統計的に有意な関連はありませんでしたが(OR = 0.73; 95% CI: 0.51-1.06)、アレルギー性鼻炎は負の相関を示しました(OR = 0.74; 95% CI: 0.64-0.86)。アレルギー疾患を有する男性(OR = 0.56; 95% CI: 0.44-0.71)と女性(OR = 0.71; 95% CI: 0.54-0.94)の両方で肺がんリスクの低下が示されました。
結論:
アレルギー疾患は肺がんリスクと逆相関しており、アレルギー性鼻炎は保護因子として作用する一方、湿疹は有意な関連を示しませんでした。さらなる疫学研究が望まれます。
本メタアナリシスは、アレルギー疾患と肺がんの潜在的な関連性を調査することを目的としています。
研究デザイン:
2024年10月8日までにPubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Scienceの各データベースで系統的検索を実施しました。データ解析はStata 14.0を用い、異質性(p>0.1, I2≤50% または I2>50%)に基づいて固定効果モデルまたはランダム効果モデルを採用しました。サブグループ分析および感度分析を行い、出版バイアスを評価しました。
結果:
10件の研究を解析した結果、アレルギー疾患と肺がんリスクとの間に負の相関が認められました(オッズ比[OR]: 0.75, 95%信頼区間[CI]: 0.66-0.85, I2=74.4%, p<0.001)。サブグループ解析では、湿疹は肺がんと統計的に有意な関連はありませんでしたが(OR = 0.73; 95% CI: 0.51-1.06)、アレルギー性鼻炎は負の相関を示しました(OR = 0.74; 95% CI: 0.64-0.86)。アレルギー疾患を有する男性(OR = 0.56; 95% CI: 0.44-0.71)と女性(OR = 0.71; 95% CI: 0.54-0.94)の両方で肺がんリスクの低下が示されました。
結論:
アレルギー疾患は肺がんリスクと逆相関しており、アレルギー性鼻炎は保護因子として作用する一方、湿疹は有意な関連を示しませんでした。さらなる疫学研究が望まれます。