注目論文:CTと病理画像の統合によるマルチモーダルAIが間質性肺疾患の診断を強化
呼吸器内科
間質性肺疾患(ILD)、特に通常型間質性肺炎(UIP)の診断は、集学的討議(MDD)が不可欠な領域です。本研究では、CT画像と病理組織画像を統合したマルチモーダルAIが、一般病理医の診断精度と専門医との一致率を劇的に向上させることが示されました。特に、診断一致率がκスコアで0.273から0.737へと大幅に改善した点は驚くべき成果です。このようなAI技術は、専門医が限られる施設での診断支援や、MDDの質と効率を高めるツールとして、臨床現場に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
Enhancing Interstitial Lung Disease Diagnoses Through Multimodal AI Integration of Histopathological and CT Image Data
CT画像と病理組織データのマルチモーダルAI統合による間質性肺疾患診断の強化
Lami K, Ozasa M, Che X, et al.
Respirology. 2025 Aug;30(8):726-735.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40176267/
CT画像と病理組織データのマルチモーダルAI統合による間質性肺疾患診断の強化
Lami K, Ozasa M, Che X, et al.
Respirology. 2025 Aug;30(8):726-735.
背景と目的
間質性肺疾患(ILDs)の診断は、様々な臨床、放射線、および病理組織学的データの統合に依存することが多いです。ILDs、特に通常型間質性肺炎(UIP)の鑑別において高い診断精度を達成することは困難であり、集学的なアプローチが求められます。したがって、本研究は、UIP診断の精度と一貫性を向上させるために、コンピュータ断層撮影(CT)画像と病理組織画像を組み合わせたマルチモーダル人工知能(AI)アルゴリズムを開発することを目的としました。
方法
2009年から2021年にかけてILD患者324名から収集したCTおよび病理画像のデータセットを使用しました。モデルのCTコンポーネントは28種類の異なる放射線学的特徴を識別するように訓練されました。病理学的コンポーネントは我々の先行研究で開発されたものです。合計114サンプルが選択され、マルチモーダルAIモデルのテストに使用されました。マルチモーダルAIの性能は、専門病理医および一般病理医との比較を通じて評価されました。
結果
開発されたマルチモーダルAIは、UIPと非UIPの鑑別において大幅な改善を示し、AUCは0.92に達しました。一般病理医がこのAIを適用したところ、診断一致率が著しく向上し、モデル導入前のκスコア0.273に対し、導入後は0.737となりました。さらに、呼吸器専門病理医との診断コンセンサス率も、モデル導入前のκスコア0.278-0.53から導入後は0.474-0.602に増加しました。このモデルはまた、一般病理医の診断に対する自信も向上させました。
結論
CT画像と病理組織画像を組み合わせることで、マルチモーダルAIアルゴリズムは、専門知識が限られている場合でも、病理医のUIP識別の診断精度、一貫性、および自信を向上させます。
間質性肺疾患(ILDs)の診断は、様々な臨床、放射線、および病理組織学的データの統合に依存することが多いです。ILDs、特に通常型間質性肺炎(UIP)の鑑別において高い診断精度を達成することは困難であり、集学的なアプローチが求められます。したがって、本研究は、UIP診断の精度と一貫性を向上させるために、コンピュータ断層撮影(CT)画像と病理組織画像を組み合わせたマルチモーダル人工知能(AI)アルゴリズムを開発することを目的としました。
方法
2009年から2021年にかけてILD患者324名から収集したCTおよび病理画像のデータセットを使用しました。モデルのCTコンポーネントは28種類の異なる放射線学的特徴を識別するように訓練されました。病理学的コンポーネントは我々の先行研究で開発されたものです。合計114サンプルが選択され、マルチモーダルAIモデルのテストに使用されました。マルチモーダルAIの性能は、専門病理医および一般病理医との比較を通じて評価されました。
結果
開発されたマルチモーダルAIは、UIPと非UIPの鑑別において大幅な改善を示し、AUCは0.92に達しました。一般病理医がこのAIを適用したところ、診断一致率が著しく向上し、モデル導入前のκスコア0.273に対し、導入後は0.737となりました。さらに、呼吸器専門病理医との診断コンセンサス率も、モデル導入前のκスコア0.278-0.53から導入後は0.474-0.602に増加しました。このモデルはまた、一般病理医の診断に対する自信も向上させました。
結論
CT画像と病理組織画像を組み合わせることで、マルチモーダルAIアルゴリズムは、専門知識が限られている場合でも、病理医のUIP識別の診断精度、一貫性、および自信を向上させます。