【医学生・研修医・若手医師の先生へ】 すべての始まりは「志」だった。キャリアに悩む人に伝えたい、人生を切り拓くための、たった一つのこと。

医学教育
「自分はどんな医師になりたいんだろう?」
「目の前のことで精一杯だけど、このままでいいのかな…?」

医学の道を志し、目の前の課題に必死に取り組む毎日。
その中で、ふとキャリアや人生の大きな羅針盤を見失いそうになる瞬間はありませんか?
もしあなたが今、少しでもそんな迷いや焦りを感じているなら、伝えたいことがあります。

すべての原動力は、あなたの「志」にある、と。

■ そもそも「志」とは何か?

「志」と聞くと、少し古臭く、壮大な言葉に聞こえるかもしれません。
しかし、これは決して特別なものではなく、あなたの人生の「なぜ?」に応える、内なるコンパスのようなものです。
「目標」とは少し違います。

目標(Goal): 「専門医資格を取る」「論文をアクセプトさせる」といった、達成すべきWhat(何を)。
志(Purpose, Aspiration): 「なぜ、自分はその目標を達成したいのか?」という、あなただけのWhy(なぜ)。

それは、あなたが人生を通じて本当に大切にしたいこと、成し遂げたいと心から願う、揺るぎない「何か」です。

■私の原点。休学中に見つけた「人生の北極星」

かく言う私も、かつては悩める学生の一人でした。転機が訪れたのは、大学を1年間休んだときのこと。
自分自身と徹底的に向き合う中で、私だけの「志」を立てました。

それは、
「全人的医療を実践し、後進を育て,人々を幸せにするために,臨床・教育・研究に取り組む」
というものでした。

この志は、私の人生の「北極星」になりました。以来、僕のすべての行動や選択は、この軸を基準にしています。
もちろん、楽な道ばかりではありませんでした。様々な逆境に苦しみ、自分の無力さに悩み、眠れない夜も過ごしました。

しかし、そんな時こそ、私はいつもこの「志」に立ち返るのです。
「自分はなんのために、この道を選んだんだっけ?」

初心に戻ることで、心は不思議と静まり、再び前を向く力が湧いてきます。それはまるで、嵐の海で灯台の光を見つけるような感覚です。

■「志」が仲間を引き寄せる “共鳴の法則”

「志」を立て、それを表明し続けることには、もう一つ素晴らしい効果があります。
それは、同じ未来を目指す仲間が、自然と集まってくることです。

私が立てた志は、まるでラジオが発する電波のようなもの。その電波に「共鳴」してくれた人々が、僕の周りに集まってきてくれるのです。

「君のその研究、面白いね!一緒にやらない?」
「新しい教育プロジェクトに取り組んでいるんだ。力を貸してくれないか?」

こうして出会った仲間たちは、僕にとってかけがえのない財産です。

彼らの助けによって、僕は一人では決して見ることのできなかった景色を見ることができ、自分の潜在能力を最大限に発揮することができるのです。
あなたが自分の「志」を明確にすれば、周りはあなたが「何者であるか」を理解してくれます。そして、あなたの電波を受け取った最高の仲間たちが、必ず現れるのです。

■「志」が、あなたの人生を豊かにする

「志を立てる」――。

それは、古くから日本に伝わる「武士道」の精神、すなわち「己の生きる道を定め、それを貫く」という強さにも通じる、普遍的な叡智なのかもしれません。

志があれば、困難な経験の中にすら「成長の糧」という意味を見出すことができます。
志があれば、素晴らしい出会いに恵まれ、人生はどこまでも豊かになります。

だからこそ、若き医学生、研修医の先生方に、心から伝えたいのです。

まずは、あなただけの「志」を立ててみませんか?

それは、どんなに小さなことでも構いません。どんなに壮大な夢でもいい。あなたの心が本当に「これだ!」と震えるもの。
それが、あなたの人生を照らし続ける、かけがえのない光になります。

さあ、あなたも「志」という名の、自分だけの物語を始めましょう。