注目論文:成人および小児におけるLong COVIDの発生率:RECOVERイニシアチブからの大規模EHR研究
呼吸器内科
米国の3つの大規模電子カルテ(EHR)ネットワークを用いた本研究は、Long COVIDの発生率を定量的に示した重要な報告です。依然としてLong COVIDが公衆衛生上の重要な課題であることを再認識させられるデータであり、臨床医として患者への説明や今後の対策を考える上で基礎となる知見です。
Long COVID Incidence Proportion in Adults and Children Between 2020 and 2024: An Electronic Health Record-Based Study From the RECOVER Initiative
2020年から2024年における成人および小児のLong COVID(新型コロナウイルス感染症後遺症)の発生割合:RECOVERイニシアチブによる電子カルテベースの研究
Mandel H, Yoo YJ, Allen AJ, et al.
Clin Infect Dis. 2025 Jul 18;80(6):1247-1261.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39907495/
2020年から2024年における成人および小児のLong COVID(新型コロナウイルス感染症後遺症)の発生割合:RECOVERイニシアチブによる電子カルテベースの研究
Mandel H, Yoo YJ, Allen AJ, et al.
Clin Infect Dis. 2025 Jul 18;80(6):1247-1261.
背景:
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染後の急性期後遺症、通称Long COVIDの発生率の推定値は、研究によって異なり、時間とともに変化してきました。我々は、RECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)イニシアチブに参加する全米3つの電子カルテ(EHR)研究ネットワークにおいて、異なる分類アルゴリズム(計算可能な表現型)を用いて、成人および小児集団におけるLong COVIDの発生率を推定しました。
研究デザイン:
このEHRに基づく後ろ向きコホート研究では、急性SARS-CoV-2感染の記録がある成人と小児の患者、および2つの対照群(同時期のCOVID-19陰性群と過去の患者群(2019年))を対象としました。COVID-19感染後30~180日以内に、Long COVIDの可能性がある症状や状態を有すると特定された個人の割合(発生割合)を調査しました。各ネットワーク(N3C、PCORnet、PEDSnet)は、独自のLong COVID定義を導入しました。補足的解析では、成人向けの統一された定義も導入しました。
結果:
全体として、使用された計算可能な表現型に応じて、小児の4%、成人の10%~26%がLong COVIDを発症しました。SARS-CoV-2患者における過剰発生率は、小児で1.5%、成人では5%~6%であり、これは我々の対照群に基づいた発生率の下限推定値を表しています。経時的パターンは各ネットワークで一貫しており、新たなウイルス変異株の出現と関連したピークが見られました。
結論:
我々の調査結果は、Long COVIDの予防と軽減が依然として公衆衛生上の優先事項であることを示しています。Long COVID発生率の経時的パターンと危険因子を調べることは、病因の理解を深め、予防と管理を改善することにつながります。
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染後の急性期後遺症、通称Long COVIDの発生率の推定値は、研究によって異なり、時間とともに変化してきました。我々は、RECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)イニシアチブに参加する全米3つの電子カルテ(EHR)研究ネットワークにおいて、異なる分類アルゴリズム(計算可能な表現型)を用いて、成人および小児集団におけるLong COVIDの発生率を推定しました。
研究デザイン:
このEHRに基づく後ろ向きコホート研究では、急性SARS-CoV-2感染の記録がある成人と小児の患者、および2つの対照群(同時期のCOVID-19陰性群と過去の患者群(2019年))を対象としました。COVID-19感染後30~180日以内に、Long COVIDの可能性がある症状や状態を有すると特定された個人の割合(発生割合)を調査しました。各ネットワーク(N3C、PCORnet、PEDSnet)は、独自のLong COVID定義を導入しました。補足的解析では、成人向けの統一された定義も導入しました。
結果:
全体として、使用された計算可能な表現型に応じて、小児の4%、成人の10%~26%がLong COVIDを発症しました。SARS-CoV-2患者における過剰発生率は、小児で1.5%、成人では5%~6%であり、これは我々の対照群に基づいた発生率の下限推定値を表しています。経時的パターンは各ネットワークで一貫しており、新たなウイルス変異株の出現と関連したピークが見られました。
結論:
我々の調査結果は、Long COVIDの予防と軽減が依然として公衆衛生上の優先事項であることを示しています。Long COVID発生率の経時的パターンと危険因子を調べることは、病因の理解を深め、予防と管理を改善することにつながります。