注目論文:オミクロンXBB.1.5対応ワクチンの比較有効性:ネットワークメタ解析

呼吸器内科
オミクロンXBB.1.5対応mRNAワクチンの有効性を比較したネットワークメタ解析(NMA)です。ファイザー社製(BNT162b2)とモデルナ社製(mRNA-1273)は、成人におけるXBB関連の入院や感染予防において同等の有効性を示しました。一方で、高齢者の入院予防に関してはファイザー社製が有利である可能性が示唆された点は興味深いところです。本研究は観察研究のメタ解析であり、交絡因子の影響など解釈には注意が必要ですが、実臨床でのワクチン選択、特に高齢者への接種を考える上で参考になるデータと言えるでしょう。今後、さらに質の高い比較データが蓄積されることが期待されます。
Comparative effectiveness of Omicron XBB 1.5-adapted COVID-19 vaccines: a systematic literature review and network meta-analysis
オミクロンXBB 1.5対応COVID-19ワクチンの比較有効性:システマティックレビューとネットワークメタアナリシス
Fahrbach K, Cichewicz A, Chu H, et al.
Expert Rev Vaccines. 2025 Dec;24(1):416-432.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40357526/
背景:
COVID-19ワクチンの比較有効性に関するデータは依然として限られています。我々は、オミクロン対応COVID-19ワクチンの有効性研究に関するシステマティックレビューとネットワークメタアナリシス(NMA)の実施可能性評価を行いました。

研究デザイン:
2025年2月までのMEDLINEおよびEmbaseの検索により、オミクロン対応COVID-19ワクチンの有効性を直接、または最近のワクチン未接種者と比較した研究を特定しました。2名の研究者が独立して、調整済みワクチン有効性(VE)を報告している論文を選択しました。実施可能性評価により、共通比較対象の適切性を判断し、効果修飾因子(EMs)を評価しました。データ抽出とバイアスリスク評価は1名の研究者が行い、2人目の研究者が検証しました。データが許す限り、ベースケース解析にはランダム効果モデルを用いたベイジアンNMAを実施しました。

結果:
このレビューでは、オミクロン対応COVID-19ワクチンに関する25件の研究が特定されました。そのうち16件がXBB製剤に関するもので、うち8件がNMAに含まれ、すべてmRNA製剤であり、2,990万人の参加者を対象としていました。BNT162b2が最も大きなエビデンス基盤を持っていました。XBB.1.5対応のBNT162b2(コミナティ)とmRNA-1273(スパイクバックス)の比較では、両ワクチンは成人におけるXBB関連の入院、感染、および医療機関受診に対して有効かつ同等であることが示されました。高齢者においては、XBB関連の入院に対する推定有効性はBNT162b2を支持する結果でした。

結論:
観察研究のこのNMAの結果は、XBB.1.5対応mRNAワクチンの有効性を支持するものです。限界として、効果修飾因子に関する仮定や、エビデンスネットワークがまばらであることが含まれます。