注目論文:インフルエンザ・COVID-19混合ワクチン、受けたい人は半数以下

呼吸器内科
インフルエンザとCOVID-19の混合ワクチンは開発が進んでおり、実用化も近いとされています。この米国での意識調査では、接種意向があるのは約48%と半数を下回る結果でした。過去のワクチン接種歴が接種意向と強く関連するのは直感的ですが、「十分な読解力」を持つ人がむしろ接種に消極的(OR=0.44)という結果は非常に興味深く、示唆に富みます。これは、単に情報を提供するだけでなく、その情報の質や伝え方が極めて重要であることを示唆しているのかもしれません。日本で同様のワクチンを導入する際の、効果的な公衆衛生上のコミュニケーション戦略を考える上で重要なデータです。
Willingness among adults in the United States to receive a combination influenza and COVID-19 vaccine
米国成人におけるインフルエンザとCOVID-19の混合ワクチンの接種意向
Summers RJ, Katz ML, Reiter PL.
Hum Vaccin Immunother. 2025 Dec;21(1):2532272.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40643200/
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する混合ワクチンは開発中であり、間もなく利用可能になる可能性があります。この種のワクチンに対する接種意向を調査するため、我々は2024年9月にオンラインパネルを介して米国在住の45~80歳の成人からなる便宜的サンプルを対象に調査を実施しました(n=1,043)。多変量ロジスティック回帰分析を用いて、参加者の混合ワクチン接種意向の相関因子を特定しました。

全体として、参加者の48.3%がインフルエンザとCOVID-19の混合ワクチンを接種する意思があると回答しました。過去1年以内にインフルエンザワクチン(オッズ比[OR]=2.72)またはCOVID-19ワクチン(OR=4.00)を接種した参加者は、混合ワクチンを接種する意向がより高いことが示されました。一方、十分な読解能力を持つ参加者(OR=0.44)や、全般的なワクチン躊躇の傾向が高い参加者(OR=0.83)は、混合ワクチンを接種する意向が低い結果となりました。

全参加者の中では、将来のワクチン接種方法として、インフルエンザとCOVID-19のワクチンを別々に接種したり、全く接種しないことと比較して、混合ワクチンを接種することがより好ましいアプローチであると認識されていました。我々の調査結果は、インフルエンザとCOVID-19の混合ワクチンに対する人々の接種意向に関する洞察を提供するものであり、この種のワクチンに関する将来の公衆衛生プログラムを導く上で役立つ可能性があります。