注目論文:血液疾患患者の侵襲性アスペルギルス症に対するイサブコナゾールの実臨床データとCOVID-19既往の影響
呼吸器内科
侵襲性アスペルギルス症、特に血液疾患というハイリスク群に対するイサブコナゾールの実臨床データは非常に貴重です。本研究はブラジルからの報告ですが、第一選択薬としての使用が64%と多く、毒性による治療中止がなかったという忍容性の高さは、本邦の実臨床における感覚とも一致します。
Real-World Experience with Isavuconazole for Invasive Aspergillosis in Hematologic Patients with and Without COVID-19 in Brazil
ブラジルにおける血液疾患患者の侵襲性アスペルギルス症(COVID-19合併/非合併)に対するイサブコナゾールの実臨床経験
Gandolpho LS, Ponzio V, Batista MV, França E Silva ILA, Ramos JF, Nucci M, Colombo AL.
J Fungi (Basel). 2025 Jun 16;11(6):456.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40558968/
ブラジルにおける血液疾患患者の侵襲性アスペルギルス症(COVID-19合併/非合併)に対するイサブコナゾールの実臨床経験
Gandolpho LS, Ponzio V, Batista MV, França E Silva ILA, Ramos JF, Nucci M, Colombo AL.
J Fungi (Basel). 2025 Jun 16;11(6):456.
背景:
侵襲性アスペルギルス症は、特に血液悪性腫瘍の患者において生命を脅かす真菌感染症です。広域スペクトラムのトリアゾール系抗真菌薬であるイサブコナゾールは、主要な治療選択肢として登場しましたが、中所得国のハイリスク集団における実世界データは依然として限られています。
研究デザイン:
ブラジルの4つの医療センターで、血液悪性腫瘍を有し、probableまたはprovenの侵襲性アスペルギルス症と診断された患者を対象に、イサブコナゾールの臨床反応率と忍容性を評価するため、多施設共同の後ろ向き研究を実施しました。
結果:
複雑な血液疾患の状況でprovenまたはprobableの侵襲性アスペルギルス症と診断された18歳から82歳までの患者50名(男性64%)を登録しました。そのうち60%が活動性または難治性の悪性腫瘍を有し、22%がCOVID-19の既往歴がありました。イサブコナゾールは64%の症例で第一選択治療として使用されました。毒性を理由に治療を中止した患者はいませんでした。6週時点での全生存率は60%でした。COVID-19の既往は、生存率の低下と関連していました(COVID-19既往なしの患者69%に対し、既往ありでは44%、p = 0.04)。
結論:
本研究は、ハイリスク集団におけるイサブコナゾールの有効性と忍容性を支持する実世界のエビデンスを提供します。この知見は、特に複雑な基礎疾患を持つ患者において、主要な抗真菌療法としてのイサブコナゾールの役割を強化するものです。
侵襲性アスペルギルス症は、特に血液悪性腫瘍の患者において生命を脅かす真菌感染症です。広域スペクトラムのトリアゾール系抗真菌薬であるイサブコナゾールは、主要な治療選択肢として登場しましたが、中所得国のハイリスク集団における実世界データは依然として限られています。
研究デザイン:
ブラジルの4つの医療センターで、血液悪性腫瘍を有し、probableまたはprovenの侵襲性アスペルギルス症と診断された患者を対象に、イサブコナゾールの臨床反応率と忍容性を評価するため、多施設共同の後ろ向き研究を実施しました。
結果:
複雑な血液疾患の状況でprovenまたはprobableの侵襲性アスペルギルス症と診断された18歳から82歳までの患者50名(男性64%)を登録しました。そのうち60%が活動性または難治性の悪性腫瘍を有し、22%がCOVID-19の既往歴がありました。イサブコナゾールは64%の症例で第一選択治療として使用されました。毒性を理由に治療を中止した患者はいませんでした。6週時点での全生存率は60%でした。COVID-19の既往は、生存率の低下と関連していました(COVID-19既往なしの患者69%に対し、既往ありでは44%、p = 0.04)。
結論:
本研究は、ハイリスク集団におけるイサブコナゾールの有効性と忍容性を支持する実世界のエビデンスを提供します。この知見は、特に複雑な基礎疾患を持つ患者において、主要な抗真菌療法としてのイサブコナゾールの役割を強化するものです。