注目論文:肺結節診断におけるナビゲーション気管支鏡と経胸壁針生検の比較
呼吸器内科
NEJMから肺結節の診断に関する重要なランダム化比較試験(RCT)が報告されました。直径10-30mmの末梢性肺結節に対し、ナビゲーション気管支鏡とCTガイド下経胸壁針生検(TTNB)の診断精度を比較したものです。結果は、ナビゲーション気管支鏡の診断精度がTTNBに対して非劣性であることが示されました。特筆すべきは、合併症である気胸の発生率がナビゲーション気管支鏡群で有意に低かった点です(3.3% vs 28.3%)。日本では、このような結節に対しては、気管支鏡検査が1stで行っていますが、米国では状況が違うようで、このような研究もNEJMに掲載されるということで個人的には新鮮でした。
Navigational Bronchoscopy or Transthoracic Needle Biopsy for Lung Nodules
肺結節に対するナビゲーション気管支鏡または経胸壁針生検
Lentz RJ, Frederick-Dyer K, Planz VB, Koyama T, et al.
N Engl J Med. 2025 Jun 5;392(21):2100-2112.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40387025/
肺結節に対するナビゲーション気管支鏡または経胸壁針生検
Lentz RJ, Frederick-Dyer K, Planz VB, Koyama T, et al.
N Engl J Med. 2025 Jun 5;392(21):2100-2112.
背景:
毎年、何百万もの肺結節が偶発的に、あるいは肺がん検診によって発見され、その多くが悪性か良性かを区別するために生検を必要とします。ナビゲーション気管支鏡とCTガイド下経胸壁針生検は、末梢性肺結節の生検を受ける患者に一般的に用いられていますが、これら2つのアプローチの相対的な診断精度は不明です。
研究デザイン:
この多施設共同、ランダム化、並行群間、非劣性試験では、直径10~30mmの中間リスクまたは高リスクの末梢性肺結節を有する患者を、米国の7施設でナビゲーション気管支鏡または経胸壁針生検のいずれかを受ける群に割り付けました。主要評価項目は診断精度とし、これは12ヶ月間の臨床的追跡調査によって正確であることが確認された特異的診断(がんまたは特異的な良性疾患)が得られた患者の割合と定義しました(非劣性マージン、10パーセントポイント)。副次評価項目には、気胸の発生などの手技関連合併症を含めました。
結果:
主要評価項目の解析対象となった234名の患者(うち5名は追跡不能)のうち、12ヶ月目までに正確であることが確認された特異的診断を生検で得られたのは、ナビゲーション気管支鏡群では119名中94名(79.0%)、経胸壁針生検群では110名中81名(73.6%)でした(絶対差、5.4パーセントポイント;95%信頼区間、-6.5~17.2;非劣性のP=0.003;優越性のP=0.17)。気胸はナビゲーション気管支鏡群で121名中4名(3.3%)、経胸壁針生検群で113名中32名(28.3%)に発生し、それぞれ1名(0.8%)と13名(11.5%)が胸腔ドレーン留置、入院、またはその両方を要しました。
結論:
直径10~30mmの末梢性肺結節を有する患者において、ナビゲーション気管支鏡の診断精度は経胸壁針生検に対して非劣性でした。
毎年、何百万もの肺結節が偶発的に、あるいは肺がん検診によって発見され、その多くが悪性か良性かを区別するために生検を必要とします。ナビゲーション気管支鏡とCTガイド下経胸壁針生検は、末梢性肺結節の生検を受ける患者に一般的に用いられていますが、これら2つのアプローチの相対的な診断精度は不明です。
研究デザイン:
この多施設共同、ランダム化、並行群間、非劣性試験では、直径10~30mmの中間リスクまたは高リスクの末梢性肺結節を有する患者を、米国の7施設でナビゲーション気管支鏡または経胸壁針生検のいずれかを受ける群に割り付けました。主要評価項目は診断精度とし、これは12ヶ月間の臨床的追跡調査によって正確であることが確認された特異的診断(がんまたは特異的な良性疾患)が得られた患者の割合と定義しました(非劣性マージン、10パーセントポイント)。副次評価項目には、気胸の発生などの手技関連合併症を含めました。
結果:
主要評価項目の解析対象となった234名の患者(うち5名は追跡不能)のうち、12ヶ月目までに正確であることが確認された特異的診断を生検で得られたのは、ナビゲーション気管支鏡群では119名中94名(79.0%)、経胸壁針生検群では110名中81名(73.6%)でした(絶対差、5.4パーセントポイント;95%信頼区間、-6.5~17.2;非劣性のP=0.003;優越性のP=0.17)。気胸はナビゲーション気管支鏡群で121名中4名(3.3%)、経胸壁針生検群で113名中32名(28.3%)に発生し、それぞれ1名(0.8%)と13名(11.5%)が胸腔ドレーン留置、入院、またはその両方を要しました。
結論:
直径10~30mmの末梢性肺結節を有する患者において、ナビゲーション気管支鏡の診断精度は経胸壁針生検に対して非劣性でした。