注目論文:アルバニア医療従事者のCOVID-19とインフルエンザワクチン接種:低いブースター接種率と職種差が課題
呼吸器内科
アルバニアの多施設研究から、医療従事者におけるCOVID-19ワクチンの初回接種率は高いものの、ブースター接種率および季節性インフルエンザワクチンの接種率が低い実態が明らかになりました。特に、COVID-19ブースター接種は男性医師で、インフルエンザワクチンは看護師で接種率が高い傾向が見られ、職種や性別によるワクチン選択の違いが示唆されます。ワクチンの安全性と有効性への信頼が接種行動と関連しており、これは万国共通の課題と言えるでしょう。日本においても、医療従事者の継続的なワクチン接種を推進するためには、職種や年齢、性別といった背景を考慮した、きめ細やかな情報提供と啓発活動が重要であることを再認識させられる研究です。特に若年層や女性、医師以外のスタッフへのアプローチは今後の重要な焦点となるでしょう。
Sociodemographic and Occupational Factors Associated With Coronavirus Disease 2019 Vaccine and Influenza Vaccine Uptake Among Healthcare Workers, in Albania, 2022-2023: A Multicenter Study.
アルバニアの医療従事者における2019年コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンおよびインフルエンザワクチンの接種に関連する社会人口統計学的および職業的要因:2022-2023年、多施設研究
Xhaferi A, Bino S, Daja R, Vasili A, Sulo J, Mebonia N, Ndreu E, Nika M, Jani N, Dabaj E, Sustarova N, Moçi A, Toçi D, Fico A, Tomini E, Robinson S, Jorgensen P, Katz MA.
Clin Infect Dis. 2025 Jun 3:ciaf202. Epub ahead of print.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40459287/
アルバニアの医療従事者における2019年コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンおよびインフルエンザワクチンの接種に関連する社会人口統計学的および職業的要因:2022-2023年、多施設研究
Xhaferi A, Bino S, Daja R, Vasili A, Sulo J, Mebonia N, Ndreu E, Nika M, Jani N, Dabaj E, Sustarova N, Moçi A, Toçi D, Fico A, Tomini E, Robinson S, Jorgensen P, Katz MA.
Clin Infect Dis. 2025 Jun 3:ciaf202. Epub ahead of print.
背景:
医療従事者(HCWs)は、2019年コロナウイルス感染症(COVID-19)およびインフルエンザワクチンの優先接種対象群です。本研究では、HCWsにおけるCOVID-19ワクチンの初回および追加接種、ならびに季節性インフルエンザワクチンの接種に関連する社会人口統計学的および職業的要因、態度、知識を評価しました。
研究デザイン:
2022年2月から2023年2月にかけて、複数年にわたるコホート研究に登録されたアルバニアの3つの病院のHCWsに対し、構造化された質問票調査を実施しました。この質問票では、COVID-19および季節性インフルエンザワクチンに対する参加者の知識、信頼、態度を評価し、COVID-19およびインフルエンザのワクチン接種歴、ワクチンの安全性と有効性に関する認識、ワクチン接種の意思決定に影響を与える要因についての質問が含まれました。
結果:
1456名のHCWsが対象となりました。年齢中央値は44歳(四分位範囲:33-53歳)で、77.3%が女性でした。職種別では、医師が20.7%、看護師または助産師が47.0%、サポートスタッフが21.5%でした。全体として、93.6%がCOVID-19ワクチンの初回シリーズを接種し、20%がCOVID-19ワクチンの追加接種を、23.7%が2022-2023年シーズンのインフルエンザワクチンを接種していました。多変量解析の結果、男性HCWsはCOVID-19ワクチンの追加接種を受ける可能性が高く(調整オッズ比[aOR] 2.08; 95%信頼区間[CI]: 1.55-2.80)、一方でインフルエンザワクチンを受ける可能性は低いことが示されました(aOR 0.69; 95% CI: 0.51-0.95)。医師はCOVID-19ワクチンの各接種を受ける可能性が高かったのに対し、看護師はインフルエンザワクチンの接種率が高い傾向にありました(aOR 1.87; 95% CI: 1.30-2.68)。両ワクチンへの安全性と有効性に対する信頼は、ワクチン接種率と正の相関を示しました。
結論:
HCWsにおけるCOVID-19ワクチンの初回シリーズ接種率は高かったものの、COVID-19ワクチンの追加接種および季節性インフルエンザワクチンの接種率は低い状況でした。ワクチン接種率が低いHCWsのグループにおける年齢や性別の違い、ならびにワクチンに対する知識や態度に関する所見は、特に若年HCWs、女性HCWs、および非医師スタッフの間で、COVID-19およびインフルエンザワクチンの接種率を改善するための的を絞った戦略に情報を提供すべきです。
医療従事者(HCWs)は、2019年コロナウイルス感染症(COVID-19)およびインフルエンザワクチンの優先接種対象群です。本研究では、HCWsにおけるCOVID-19ワクチンの初回および追加接種、ならびに季節性インフルエンザワクチンの接種に関連する社会人口統計学的および職業的要因、態度、知識を評価しました。
研究デザイン:
2022年2月から2023年2月にかけて、複数年にわたるコホート研究に登録されたアルバニアの3つの病院のHCWsに対し、構造化された質問票調査を実施しました。この質問票では、COVID-19および季節性インフルエンザワクチンに対する参加者の知識、信頼、態度を評価し、COVID-19およびインフルエンザのワクチン接種歴、ワクチンの安全性と有効性に関する認識、ワクチン接種の意思決定に影響を与える要因についての質問が含まれました。
結果:
1456名のHCWsが対象となりました。年齢中央値は44歳(四分位範囲:33-53歳)で、77.3%が女性でした。職種別では、医師が20.7%、看護師または助産師が47.0%、サポートスタッフが21.5%でした。全体として、93.6%がCOVID-19ワクチンの初回シリーズを接種し、20%がCOVID-19ワクチンの追加接種を、23.7%が2022-2023年シーズンのインフルエンザワクチンを接種していました。多変量解析の結果、男性HCWsはCOVID-19ワクチンの追加接種を受ける可能性が高く(調整オッズ比[aOR] 2.08; 95%信頼区間[CI]: 1.55-2.80)、一方でインフルエンザワクチンを受ける可能性は低いことが示されました(aOR 0.69; 95% CI: 0.51-0.95)。医師はCOVID-19ワクチンの各接種を受ける可能性が高かったのに対し、看護師はインフルエンザワクチンの接種率が高い傾向にありました(aOR 1.87; 95% CI: 1.30-2.68)。両ワクチンへの安全性と有効性に対する信頼は、ワクチン接種率と正の相関を示しました。
結論:
HCWsにおけるCOVID-19ワクチンの初回シリーズ接種率は高かったものの、COVID-19ワクチンの追加接種および季節性インフルエンザワクチンの接種率は低い状況でした。ワクチン接種率が低いHCWsのグループにおける年齢や性別の違い、ならびにワクチンに対する知識や態度に関する所見は、特に若年HCWs、女性HCWs、および非医師スタッフの間で、COVID-19およびインフルエンザワクチンの接種率を改善するための的を絞った戦略に情報を提供すべきです。