注目論文:グルココルチコイド投与下のワクチン戦略、用量閾値より個別評価を
呼吸器内科
グルココルチコイド、いわゆるステロイド投与中の患者さんへのワクチン接種の判断は日常的に悩ましい問題です。本総説は、国際的なガイドラインで用いられる「高用量ステロイド」(例:プレドニゾン換算20mg/日超)の定義の根拠が必ずしも明確でないことを指摘しています。プレドニゾン7mg/日未満ではワクチン効果は維持されるものの、20mg/日超では抗体応答の低下が見られ、7-20mg/日の中間量では影響がはっきりしないとのこと。不活化ワクチンは比較的安全とされますが、厳格な用量閾値よりも個々の患者さんの状態に応じたリスク・ベネフィット評価が重要という結論は、実臨床の感覚に近く、非常に示唆に富みます。我々呼吸器内科医もステロイド使用患者さんへのワクチン接種機会は多いため、心に留めておくべき内容でしょう。
Glucocorticoid Dosing and Implications for Vaccination: Evolution of Global Definitions
グルココルチコイド投与量とワクチン接種への影響:国際的な定義の変遷
Wang X, Patel C, Giles ML, Burns P, Macartney K, Teh B, Williams PC.
Clin Infect Dis. 2025 Jun 4;80(5):998-1004.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39692483/
グルココルチコイド投与量とワクチン接種への影響:国際的な定義の変遷
Wang X, Patel C, Giles ML, Burns P, Macartney K, Teh B, Williams PC.
Clin Infect Dis. 2025 Jun 4;80(5):998-1004.
背景:
国際的な予防接種ガイドラインにおいて「高用量」グルココルチコイドの定義(すなわち、プレドニゾン換算で20mg/日超、または小児では2mg/kg/日超の投与量)が広く採用されているにもかかわらず、その論理的根拠は依然として不明確です。
研究デザイン:
本ナラティブレビューでは、グルココルチコイド投与量がワクチン反応および安全性に与える影響に関する関連エビデンスを特定するため、学術データベースを通じた文献検索を実施しました。
結果:
プレドニゾン7mg/日未満を投与されている人々では、ワクチン反応は維持されます。一方、「高用量」グルココルチコイド(20mg/日超)を投与されている人々では、抗体価およびセロポジティビティ(血清陽性率)は低下しますが、低用量から中用量のグルココルチコイド(7~20mg/日)がワクチン効果に与える影響については結論が出ていません。小児における投与レジメンが一貫していないため、統一された「高用量」グルココルチコイドの閾値を支持するにはデータが不十分です。非生ワクチン(不活化ワクチンなど)は、リウマチ性疾患や炎症性疾患でグルココルチコイドを投与されている患者において忍容性が良好ですが、重度の免疫不全を有する患者では生ワクチン接種後に反応原性が増強する可能性があります。
結論:
臨床医は、グルココルチコイドを処方されている患者の予防接種プログラムを計画する際、厳格な投与量の閾値に従うのではなく、個々のリスク・ベネフィットプロファイルを考慮すべきです。
国際的な予防接種ガイドラインにおいて「高用量」グルココルチコイドの定義(すなわち、プレドニゾン換算で20mg/日超、または小児では2mg/kg/日超の投与量)が広く採用されているにもかかわらず、その論理的根拠は依然として不明確です。
研究デザイン:
本ナラティブレビューでは、グルココルチコイド投与量がワクチン反応および安全性に与える影響に関する関連エビデンスを特定するため、学術データベースを通じた文献検索を実施しました。
結果:
プレドニゾン7mg/日未満を投与されている人々では、ワクチン反応は維持されます。一方、「高用量」グルココルチコイド(20mg/日超)を投与されている人々では、抗体価およびセロポジティビティ(血清陽性率)は低下しますが、低用量から中用量のグルココルチコイド(7~20mg/日)がワクチン効果に与える影響については結論が出ていません。小児における投与レジメンが一貫していないため、統一された「高用量」グルココルチコイドの閾値を支持するにはデータが不十分です。非生ワクチン(不活化ワクチンなど)は、リウマチ性疾患や炎症性疾患でグルココルチコイドを投与されている患者において忍容性が良好ですが、重度の免疫不全を有する患者では生ワクチン接種後に反応原性が増強する可能性があります。
結論:
臨床医は、グルココルチコイドを処方されている患者の予防接種プログラムを計画する際、厳格な投与量の閾値に従うのではなく、個々のリスク・ベネフィットプロファイルを考慮すべきです。