注目論文:医学研究における生成AI使用の報告ガイドライン:GAMER声明

呼吸器内科
生成AI(Generative Artificial Intelligence: GAI)の医学研究への応用は急速に進んでいますが、その利用法や報告の透明性には課題がありました。本論文で提唱されたGAMER(医学研究における生成AIツール使用のための報告ガイドライン)声明は、国際的な専門家の合意(デルファイ法)に基づき、GAIを用いた研究報告のための標準化された9項目からなるチェックリストを提示しており、非常に意義深いものです。これにより、研究の再現性や信頼性が高まり、GAIの健全な発展に寄与することが期待されます。我々臨床医が新しい知見を吟味する際にも、このような報告ガイドラインの存在は重要となるでしょう。日本国内での浸透と活用にも期待したいところです。
Reporting guideline for the use of Generative Artificial intelligence tools in MEdical Research: the GAMER Statement
医学研究における生成AIツール使用のための報告ガイドライン:GAMER声明
Luo X, Tham YC, Giuffrè M, Ranisch R, Daher M, Lam K, Eriksen AV, Hsu CW, Ozaki A, Moraes FY, Khanna S, Su KP, Begagić E, Bian Z, Chen Y, Estill J; GAMER Working Group.
BMJ Evid Based Med. 2025 May 13:bmjebm-2025-113825.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40360239/
背景:
生成AI(GAI)ツールは医学研究の質と効率を高める可能性がありますが、その不適切な使用は盗作、学術不正、信頼性の低い知見につながる恐れがあります。GAI使用の透明性のある報告は不可欠ですが、既存のジャーナルや機関のガイドラインには一貫性がなく、標準化された原則もありませんでした。

研究デザイン:
国際的なオンラインデルファイ法による研究として実施されました。参加者は医学および人工知能の国際的な専門家でした。主要評価項目は、GAMER(医学研究における生成AIツール使用のための報告ガイドライン)の組み入れ基準項目に関するデルファイ専門家パネルの合意レベルとされました。

結果:
開発プロセスには、スコーピングレビュー、2回のデルファイ調査、およびバーチャル会議が含まれました。26カ国から51名の専門家がこのプロセスに参加しました(デルファイ調査には44名が参加)。最終的なチェックリストは9つの報告項目から構成されています:全般的な宣言、GAIツールの仕様、プロンプト技術、研究におけるツールの役割、開発された新しいGAIモデルの宣言、論文中のAI支援部分、内容の検証、データプライバシー、および結論への影響。

結論:
GAMERは、医学研究におけるGAI使用に関する普遍的かつ標準化されたガイドラインを提供し、透明性、完全性、質を保証するものです。