注目論文:2024-25年欧州におけるCOVID-19ワクチンの有効性:プライマリケアにおける症候性SARS-CoV-2感染に対するVEBISネットワーク研究

呼吸器内科
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)との闘いは新たな局面に入り、変異株に対応したワクチンの有効性評価は引き続き重要です。このヨーロッパのプライマリケアからの報告は、2024-25年シーズンの最新COVID-19ワクチンに関する速報値です。医療機関にかかるほどの症候性SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染に対し、ワクチンは全体で66%、高齢者層でも67%の有効性を示し、過去のシーズンと比べると比較的高めの結果でした。接種後1ヶ月目が73%と最も高く、2ヶ月目には54%と低下傾向が見られました。有効性の持続性については注意深い観察が求められますが、現行ワクチンの一定の効果を示すデータとして注目されます。
COVID-19 Vaccine Effectiveness Against Medically Attended Symptomatic SARS-CoV-2 Infection Among Target Groups in Europe, October 2024-January 2025, VEBIS Primary Care Network.
2024-25年欧州におけるCOVID-19ワクチンの有効性:プライマリケアにおける症候性SARS-CoV-2感染に対するVEBISネットワーク研究
Laniece Delaunay C, Verdasca N, Monge S, Domegan L, Sève N, Buda S, Meijer A, Lucaccioni H, López Torrijos M, McKenna A, Enouf V, Dürrwald R, In't Velt E, de Valcárcel Laiglesia MÁ, Bennett C, Masse S, Erdwiens A, Hooiveld M, Mlinarić I, Túri G, Rodrigues AP, Martínez-Baz I, Lazar M, Latorre-Margalef N, Borges V, Kaczmarek M, Bacci S, Kissling E; European primary care VE group.
Influenza Other Respir Viruses. 2025 May;19(5):e70120.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40395132/
背景・目的:
本研究では、欧州のターゲットグループにおいて、2024/25年シーズンのCOVID-19ワクチン接種が、医療機関を受診した症候性のSARS-CoV-2感染に対していかに有効であるかを推定しました。

研究デザイン:
プライマリケアレベルで行われた多施設共同テストネガティブデザイン研究のデータを用いました。3204人の患者(症例群139人中8人がワクチン接種:6%;対照群3065人中517人がワクチン接種:17%)を解析対象としました。

結果:
ワクチン有効性(VE)は全体で66%(95%信頼区間(CI):34-85%)でした。ワクチン接種後1ヶ月目および2ヶ月目のVEは、それぞれ73%(95%CI:21-94%)および54%(95%CI:-3~83%)でした。高齢者(60歳以上または65歳以上)における全体的なVEは67%(95%CI:33-86%)でした。

結論:
今回観察された比較的高いCOVID-19ワクチン有効性(過去のシーズンとの比較において)や、ワクチン接種後の時間経過に伴う有効性の変化については、サンプルサイズが小さかったため、さらなるデータによる確認が必要です。