注目論文:インフルエンザワクチン有効性の迅速評価:カリフォルニア州2023-24年シーズンの公衆衛生データ連携解析
呼吸器内科
毎シーズンのインフルエンザワクチン有効性(VE)の迅速な評価は、公衆衛生戦略上極めて重要です。本研究は、カリフォルニア州の既存の公衆衛生情報システムを連携させることで、大規模かつリアルタイムに近いVE評価が可能であることを示しました。2023-24年シーズン、全体のVEは41%と中等度でしたが、A型に対し32%、B型に対し68%と型によって効果に差が見られ、また65歳以上では26%と低下する点は注目すべきです。これらの結果は、ワクチンの改良や接種推奨の最適化を考える上で貴重なデータとなります。日本でもマイナンバー制度等を活用した同様の迅速評価システムの構築と、それに基づく柔軟な対策が期待されます。このようなリアルワールドエビデンスの集積が、今後の予防接種政策を支える基盤となるでしょう。
Estimating Influenza Vaccine Effectiveness Against Laboratory-Confirmed Influenza Using Linked Public Health Information Systems, California, 2023-2024 Season.
インフルエンザワクチン有効性の迅速評価:カリフォルニア州2023-24年シーズンの公衆衛生データ連携解析
Zhu S, Quint J, León T, et al.
J Infect Dis. 2025 May 13.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40359401/
インフルエンザワクチン有効性の迅速評価:カリフォルニア州2023-24年シーズンの公衆衛生データ連携解析
Zhu S, Quint J, León T, et al.
J Infect Dis. 2025 May 13.
背景:
カリフォルニア州ではインフルエンザ検査結果とワクチン接種記録の公衆衛生報告が義務付けられており、これらのデータを活用して季節性インフルエンザワクチンの有効性(Vaccine effectiveness: VE)を推定することが可能です。
方法:
2023-24年のインフルエンザシーズン(2023年10月~2024年6月)にインフルエンザ検査を受けたカリフォルニア州在住の生後6ヶ月以上の住民を対象とし、州の予防接種登録データとインフルエンザ検査報告データをリンクして解析しました。検査確定インフルエンザ(核酸増幅検査またはウイルス培養陽性)症例において、2023-24年シーズンのワクチン接種歴の有無を比較し、ロジスティック回帰分析(年齢、人種、民族、検体採取週、居住郡で調整)を用いてオッズ比(OR)を算出し、VEを (1 - 調整後OR) × 100% として計算しました。
結果:
解析対象となった1,382,142件の検査報告(個人)のうち、129,253人(9%)がインフルエンザ陽性でした。全検査者のうち30%にあたる415,390人が検査日の14日以上前にインフルエンザワクチン接種を受けていました。検査確定インフルエンザ全体に対するワクチンの有効性は41%(95%信頼区間[CI] 40%-42%)でした。インフルエンザA型に対する有効性は32%(95% CI 31%-33%)、B型に対する有効性は68%(95% CI 66%-69%)でした。また、65歳以上の成人における有効性は26%(95% CI 24%-29%)でした。
結論:
インフルエンザワクチン接種は、検査確定インフルエンザの予防と関連していました。本研究は、公衆衛生サーベイランスシステムからの予防接種記録と検査データを連携させることにより、季節性インフルエンザワクチンの有効性を評価する方法の実行可能性を示しました。
カリフォルニア州ではインフルエンザ検査結果とワクチン接種記録の公衆衛生報告が義務付けられており、これらのデータを活用して季節性インフルエンザワクチンの有効性(Vaccine effectiveness: VE)を推定することが可能です。
方法:
2023-24年のインフルエンザシーズン(2023年10月~2024年6月)にインフルエンザ検査を受けたカリフォルニア州在住の生後6ヶ月以上の住民を対象とし、州の予防接種登録データとインフルエンザ検査報告データをリンクして解析しました。検査確定インフルエンザ(核酸増幅検査またはウイルス培養陽性)症例において、2023-24年シーズンのワクチン接種歴の有無を比較し、ロジスティック回帰分析(年齢、人種、民族、検体採取週、居住郡で調整)を用いてオッズ比(OR)を算出し、VEを (1 - 調整後OR) × 100% として計算しました。
結果:
解析対象となった1,382,142件の検査報告(個人)のうち、129,253人(9%)がインフルエンザ陽性でした。全検査者のうち30%にあたる415,390人が検査日の14日以上前にインフルエンザワクチン接種を受けていました。検査確定インフルエンザ全体に対するワクチンの有効性は41%(95%信頼区間[CI] 40%-42%)でした。インフルエンザA型に対する有効性は32%(95% CI 31%-33%)、B型に対する有効性は68%(95% CI 66%-69%)でした。また、65歳以上の成人における有効性は26%(95% CI 24%-29%)でした。
結論:
インフルエンザワクチン接種は、検査確定インフルエンザの予防と関連していました。本研究は、公衆衛生サーベイランスシステムからの予防接種記録と検査データを連携させることにより、季節性インフルエンザワクチンの有効性を評価する方法の実行可能性を示しました。