注目論文:米国成人におけるグルココルチコイド使用とニューモシスチス肺炎(PJP)予防の現状
呼吸器内科
グルココルチコイドは多くの疾患治療に不可欠ですが、ニューモシスチス肺炎(PJP)のリスク増大は常に念頭に置くべき副作用です。本研究は米国の実臨床データから、中等量以上のステロイド使用者におけるPJP予防投与率が低い現状を浮き彫りにしています。特に、高用量ステロイド使用者ほど予防投与のオッズが低いという結果は衝撃的であり、リスクが高い患者群でこそ予防が徹底されるべきという原則との乖離を示唆します。呼吸器内科領域でも間質性肺炎や喘息、COPD増悪などでステロイドを多用しますが、PJP予防の閾値や期間については議論があり、個々の患者背景に応じた判断が求められます。本邦の状況も注視し、適切な予防戦略の推進が必要です。
Glucocorticoids, Concomitant Immunosuppression, and PJP Prophylaxis Among U.S. Adults.
米国成人におけるグルココルチコイド使用とニューモシスチス肺炎(PJP)予防の現状
Chastain DB, Thompson GR 3rd, Henao-Martínez AF.
Clin Infect Dis. 2025 Mar 21:ciaf147.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40117207/
米国成人におけるグルココルチコイド使用とニューモシスチス肺炎(PJP)予防の現状
Chastain DB, Thompson GR 3rd, Henao-Martínez AF.
Clin Infect Dis. 2025 Mar 21:ciaf147.
背景:
グルココルチコイド、併存疾患、および併用される免疫抑制療法がニューモシスチス・イロベチイ肺炎(Pneumocystis jirovecii pneumonia: PJP)発症リスクに与える影響については未だ十分に解明されておらず、PJP予防投与も十分に行われていない現状があります。
方法と結果:
米国の電子医療記録データベースTriNetXを用いて、グルココルチコイドを2週間以上処方された成人患者を対象に調査を行いました。その結果、対象患者の44.6%がプレドニゾン換算で1日あたり20mgを超えるグルココルチコイドを投与されていました。しかし、PJPの予防投与率は低く、グルココルチコイドの投与量が多い患者ほど、予防投与を受けているオッズが低いという逆の関連が認められました。
結論:
本研究の結果は、米国の実臨床において、特に高用量グルココルチコイド使用者に対するPJP予防が不十分である可能性を示唆しています。
グルココルチコイド、併存疾患、および併用される免疫抑制療法がニューモシスチス・イロベチイ肺炎(Pneumocystis jirovecii pneumonia: PJP)発症リスクに与える影響については未だ十分に解明されておらず、PJP予防投与も十分に行われていない現状があります。
方法と結果:
米国の電子医療記録データベースTriNetXを用いて、グルココルチコイドを2週間以上処方された成人患者を対象に調査を行いました。その結果、対象患者の44.6%がプレドニゾン換算で1日あたり20mgを超えるグルココルチコイドを投与されていました。しかし、PJPの予防投与率は低く、グルココルチコイドの投与量が多い患者ほど、予防投与を受けているオッズが低いという逆の関連が認められました。
結論:
本研究の結果は、米国の実臨床において、特に高用量グルココルチコイド使用者に対するPJP予防が不十分である可能性を示唆しています。