注目論文:成人肺炎球菌ワクチン試験:高リスク集団での評価充実と免疫原性アウトカム標準化の提言
呼吸器内科
肺炎球菌ワクチンは成人、特に高齢者や基礎疾患を有する高リスク者にとって極めて重要です。しかし本稿が指摘するように、これらの最重要対象群が実際の臨床試験から除外されがちな現状は大きな課題です。また、ワクチンの効果を測る免疫原性の評価法が試験ごとに異なれば、ワクチンの比較や最適な選択は困難になります。日本でも肺炎球菌ワクチンは広く推奨されていますが、実臨床での有効性データ、特に免疫不全者におけるデータはまだ十分とは言えません。ワクチンの恩恵を真に必要とする人々へ届けるため、高リスク集団での質の高いエビデンス構築と国際的な評価基準の調和が急務であるという筆者らの主張に強く同意します。
Need for inclusion of high-risk populations and standardisation of immunogenicity outcomes in adult pneumococcal vaccine trials.
成人肺炎球菌ワクチン試験:高リスク集団での評価充実と免疫原性アウトカム標準化の提言
Harboe ZB, Cordero E, Moran C, Kuijpers L, Epaulard O, Vollaard A.
Lancet Infect Dis. 2025 May 9:S1473-3099(25)00286-5.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40354795/
成人肺炎球菌ワクチン試験:高リスク集団での評価充実と免疫原性アウトカム標準化の提言
Harboe ZB, Cordero E, Moran C, Kuijpers L, Epaulard O, Vollaard A.
Lancet Infect Dis. 2025 May 9:S1473-3099(25)00286-5.
背景:
近年の肺炎球菌疾患とワクチンに関する総説を踏まえ、成人への肺炎球菌ワクチン接種の最適化において、依然として対処すべき重要な課題が存在します。
問題提起:
第一に、多くの国で高齢者、免疫不全状態の患者、基礎疾患を持つ患者など高リスク成人への肺炎球菌ワクチン接種が推奨されているにもかかわらず、これらの集団はワクチンの認可や政策決定の根拠となる第3相臨床試験からしばしば除外されています。特に免疫不全患者におけるデータは乏しく、ワクチンの有効性や免疫原性に関するエビデンスが不足しています。
第二に、ワクチン接種後の免疫原性アウトカムの報告方法が標準化されておらず、血清保護閾値や評価項目が研究ごとに異なるため、異なるワクチンや研究結果の直接比較が困難です。
提言と結論:
著者らは、これらの問題を解決するために、高リスク集団を臨床試験へ積極的に組み込むこと、そして免疫原性アウトカム(特にオプソニン化貪食活性(OPA)を含む)の報告を国際的に標準化することが急務であると提言しています。デルファイ法などを用いたコンセンサス形成を通じて、防御の相関因子の特定や追加接種の最適時期の検討、国際共同試験の推進を図るべきであるとしています。これにより、肺炎球菌ワクチンを最も必要とする人々への恩恵を最大化できると結論付けています。
近年の肺炎球菌疾患とワクチンに関する総説を踏まえ、成人への肺炎球菌ワクチン接種の最適化において、依然として対処すべき重要な課題が存在します。
問題提起:
第一に、多くの国で高齢者、免疫不全状態の患者、基礎疾患を持つ患者など高リスク成人への肺炎球菌ワクチン接種が推奨されているにもかかわらず、これらの集団はワクチンの認可や政策決定の根拠となる第3相臨床試験からしばしば除外されています。特に免疫不全患者におけるデータは乏しく、ワクチンの有効性や免疫原性に関するエビデンスが不足しています。
第二に、ワクチン接種後の免疫原性アウトカムの報告方法が標準化されておらず、血清保護閾値や評価項目が研究ごとに異なるため、異なるワクチンや研究結果の直接比較が困難です。
提言と結論:
著者らは、これらの問題を解決するために、高リスク集団を臨床試験へ積極的に組み込むこと、そして免疫原性アウトカム(特にオプソニン化貪食活性(OPA)を含む)の報告を国際的に標準化することが急務であると提言しています。デルファイ法などを用いたコンセンサス形成を通じて、防御の相関因子の特定や追加接種の最適時期の検討、国際共同試験の推進を図るべきであるとしています。これにより、肺炎球菌ワクチンを最も必要とする人々への恩恵を最大化できると結論付けています。