注目論文:13価肺炎球菌ワクチン導入下における小児の血清型3侵襲性肺炎球菌感染症の増加:オーストラリア15年間のサーベイランス解析
呼吸器内科
肺炎球菌ワクチンは小児の侵襲性感染症予防の切り札ですが、本研究はオーストラリアで13価ワクチン(13vPCV)導入後も、特定の血清型である3型(ST3)による侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)が未就学児で増加し続けていることを示しています。7価ワクチンから13価ワクチンへの変更、さらに接種スケジュールの変更(3+0回から2+1回へ)を経てもST3 IPDの発生率は高止まり、あるいは増加傾向にあるという結果は、13vPCVのST3に対する効果が限定的である可能性を示唆します。本邦でも同様の懸念はあり、今後のワクチン戦略や血清型カバー率の評価において重要なデータとなるでしょう。ST3の特性や免疫応答について更なる研究が求められます。
Serotype 3 associated invasive pneumococcal disease in children: analysis of 15 years of Australian national surveillance data.
13価肺炎球菌ワクチン導入下における小児の血清型3侵襲性肺炎球菌感染症の増加:オーストラリア15年間のサーベイランス解析
Homaira N, Khan JR, Jaffé A.
Thorax. 2025 May 13:thorax-2025-223125.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40360260/
13価肺炎球菌ワクチン導入下における小児の血清型3侵襲性肺炎球菌感染症の増加:オーストラリア15年間のサーベイランス解析
Homaira N, Khan JR, Jaffé A.
Thorax. 2025 May 13:thorax-2025-223125.
背景:
オーストラリアの予防接種プログラムでは、2011年に7価肺炎球菌結合型ワクチン(7vPCV)が13価肺炎球菌結合型ワクチン(13vPCV)に3回初回接種・追加接種なし(3+0)のスケジュールで置き換えられ、2018年には2回初回接種・1回追加接種(2+1)のスケジュールに更新されました。本研究は、全国サーベイランスデータを分析し、就学前児童における肺炎球菌血清型3(ST3)による侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の発生率の変化を調査することを目的としました。
研究デザイン:
オーストラリアの全国サーベイランスデータを用いて、2009年から2023年までの期間における就学前児童の肺炎球菌血清型3(ST3)による侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の発生率の変化を後ろ向きに分析しました。7vPCV導入期(2009-2011年)、13vPCV 3+0回接種スケジュール期(2012-2018年)、および13vPCV 2+1回接種スケジュール期(2019-2023年)で発生率を比較しました。
結果:
2009年から2023年の間に、小児10万人あたりのST3 IPDの発生率は、2009年の0.42から2023年には3.65へと増加しました。2009-2011年(7vPCV時代)と比較して、2012-2018年(13vPCV 3+0回接種)のST3 IPD発生率は約4倍高く、さらに2012-2018年と比較して2019-2023年(13vPCV 2+1回接種)では2倍高い発生率でした。
結論:
これらの結果は、13vPCVによるST3に対する予防効果が限定的であることを示唆しています。
オーストラリアの予防接種プログラムでは、2011年に7価肺炎球菌結合型ワクチン(7vPCV)が13価肺炎球菌結合型ワクチン(13vPCV)に3回初回接種・追加接種なし(3+0)のスケジュールで置き換えられ、2018年には2回初回接種・1回追加接種(2+1)のスケジュールに更新されました。本研究は、全国サーベイランスデータを分析し、就学前児童における肺炎球菌血清型3(ST3)による侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の発生率の変化を調査することを目的としました。
研究デザイン:
オーストラリアの全国サーベイランスデータを用いて、2009年から2023年までの期間における就学前児童の肺炎球菌血清型3(ST3)による侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の発生率の変化を後ろ向きに分析しました。7vPCV導入期(2009-2011年)、13vPCV 3+0回接種スケジュール期(2012-2018年)、および13vPCV 2+1回接種スケジュール期(2019-2023年)で発生率を比較しました。
結果:
2009年から2023年の間に、小児10万人あたりのST3 IPDの発生率は、2009年の0.42から2023年には3.65へと増加しました。2009-2011年(7vPCV時代)と比較して、2012-2018年(13vPCV 3+0回接種)のST3 IPD発生率は約4倍高く、さらに2012-2018年と比較して2019-2023年(13vPCV 2+1回接種)では2倍高い発生率でした。
結論:
これらの結果は、13vPCVによるST3に対する予防効果が限定的であることを示唆しています。