注目論文:観察データベース研究によるランダム化比較試験の再現:COPDと喘息におけるRCT-DUPLICATEイニシアチブ

呼吸器内科
観察研究は、規制当局の意思決定において実臨床データを提供する機会が増えています。本研究は、喘息患者を対象とした2件、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象とした3件の公開済みランダム化比較試験(RCT)を、米国の医療請求データベースを用いて観察研究で再現するRCT-DUPLICATEイニシアチブの成果を示しています。傾向スコアでマッチングされた新規ユーザーコホートを用いて、試験薬と対照薬の投与開始患者を比較した結果、観察研究と元のRCTとの間で主に一致しない結果が得られました。この不一致は、RCTにおけるランダム化前の治療中止が観察研究では再現できないことが原因である可能性が示唆されています。実臨床における薬剤効果の評価には慎重な解釈が必要であることを示唆する興味深い研究です。
Emulating randomized trials by observational database studies: the RCT-DUPLICATE initiative in COPD and asthma.
観察データベース研究によるランダム化比較試験の再現:COPDと喘息におけるRCT-DUPLICATEイニシアチブ
Suissa S, Schneeweiss S, Feldman WB, Tesfaye H, Wang SV.
Am J Epidemiol. 2025 May 7;194(5):1152-1159.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39191649/
背景:
観察研究は、規制当局の意思決定において実臨床データを提供する機会が増えています。RCT-DUPLICATEイニシアチブは、喘息患者を対象とした2件、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象とした3件の公開済みランダム化比較試験を観察研究で再現しました。

研究デザイン:
各試験について、米国の2つの医療請求データベースから新規ユーザーコホートを作成し、傾向スコアでマッチングされた試験薬と対照薬の投与開始患者を比較しました。比例ハザードモデルを用いて、試験のアウトカムに関する治療効果を比較しました。

結果:
観察研究では、対応する試験よりも多くの被験者が含まれており、治療群はベースライン特性がよくマッチしていました。喘息の例として、FDA義務付けの26週間のD5896試験の再現がありました。各群6494人の喘息患者において、ブデソニド・ホルモテロールとブデソニドの重篤な喘息関連イベントのハザード比(HR)は、試験では1.07(95% CI、0.70-1.65)であったのに対し、観察研究では1.29(95% CI、0.63-2.65)でした。COPDの例として、1年間のIMPACT試験の再現があります。各群4365人のCOPD患者において、トリプル療法と2剤併用気管支拡張薬のCOPD増悪のHRは、試験では0.84(95% CI、0.78-0.91)であったのに対し、観察研究では1.08(95% CI、1.00-1.17)でした。観察分析とその再現されたランダム化比較試験の間で、主として一致しない結果が見られました。これはおそらく、試験におけるランダム化前の治療の強制的な中止が原因であり、観察分析では再現できないためと考えられます。

結論:
観察分析とその再現されたランダム化比較試験の間で、主として一致しない結果が見られました。これはおそらく、試験におけるランダム化前の治療の強制的な中止が原因であり、観察分析では再現できないためと考えられます。