注目論文:インフルエンザA型とB型の臨床転帰比較
呼吸器内科
インフルエンザA型とB型の臨床経過や重症度の違いについては従来データが限られていましたが、本研究ではその差異が明確に示されました。B型インフルエンザは短期的な良好な転帰が多い一方、A型では抗ウイルス薬使用率が高いことが確認されています。本研究は両型の異なる臨床経過を示し、B型に対しても適切な診断と治療の必要性を強調した点で重要です。
Comparison Between Clinical Outcomes in Influenza A and B Infections: A Multicenter Retrospective Cohort Study
インフルエンザA型およびB型感染症における臨床転帰の比較:多施設後ろ向きコホート研究
Benjamin Davido, Benoit Lemarie, Elyanne Gault, Karim Jaffal, Martin Rottman, Sebastien Beaune, Christel Mamona, Djillali Annane
CMI Communications, 2025, 105072
https://doi.org/10.1016/j.cmicom.2025.105072
インフルエンザA型およびB型感染症における臨床転帰の比較:多施設後ろ向きコホート研究
Benjamin Davido, Benoit Lemarie, Elyanne Gault, Karim Jaffal, Martin Rottman, Sebastien Beaune, Christel Mamona, Djillali Annane
CMI Communications, 2025, 105072
背景:
インフルエンザは季節性の罹患率に大きく寄与し、医療資源に負担をかけていますが、A型とB型を直接比較するデータは限られています。本研究では、これら2つのインフルエンザ型の臨床的重症度と転帰の潜在的な差異を評価しました。
研究デザイン:
インフルエンザA型またはB型と診断された成人患者を対象に多施設後ろ向き研究を実施しました。ロジスティック回帰を用いて、人口統計、併存疾患、臨床パラメータにわたる不良転帰の予測因子を特定しました。
結果:
インフルエンザA型コホートは234名、B型は113名でした。B型と比較して、A型患者はオセルタミビルを受ける可能性が高く(43.5%対27.9%、p=0.01)、放射線学的異常の割合は同様でした(27.8%対24.8%、p=0.6)。65歳以上の年齢は入院の最強予測因子でした(調整オッズ比[aOR] 4.78、p=0.01)。ICU入室の予測因子には、65歳未満(aOR 3.18、p=0.02)、放射線学的両側性病変(aOR 19.4、p<0.001)、オセルタミビル治療の実施(aOR 2.43、p=0.01)があり、二次感染の傾向も認められました(aOR 2.56、p=0.07)。短期的な好ましい転帰はインフルエンザB型でより一般的でしたが(aOR 2.52、p=0.02)、慢性呼吸器疾患とチャールソン併存疾患指数は好ましい転帰の可能性を低下させました(それぞれaOR 0.34、p=0.04および0.25、p=0.001)。カプランマイヤー生存曲線では、90日時点での死亡率はインフルエンザA型とB型の間で同様でした(13.4%対8.7%、p=0.3)。
結論:
インフルエンザA型とB型は異なる臨床経過を示し、B型を軽視すべきではありません。これらの知見は、より早期の抗ウイルス薬投与開始を促進するための早期診断検査と、両インフルエンザ型に合わせたより広範なワクチン政策の必要性を強調しています。
インフルエンザは季節性の罹患率に大きく寄与し、医療資源に負担をかけていますが、A型とB型を直接比較するデータは限られています。本研究では、これら2つのインフルエンザ型の臨床的重症度と転帰の潜在的な差異を評価しました。
研究デザイン:
インフルエンザA型またはB型と診断された成人患者を対象に多施設後ろ向き研究を実施しました。ロジスティック回帰を用いて、人口統計、併存疾患、臨床パラメータにわたる不良転帰の予測因子を特定しました。
結果:
インフルエンザA型コホートは234名、B型は113名でした。B型と比較して、A型患者はオセルタミビルを受ける可能性が高く(43.5%対27.9%、p=0.01)、放射線学的異常の割合は同様でした(27.8%対24.8%、p=0.6)。65歳以上の年齢は入院の最強予測因子でした(調整オッズ比[aOR] 4.78、p=0.01)。ICU入室の予測因子には、65歳未満(aOR 3.18、p=0.02)、放射線学的両側性病変(aOR 19.4、p<0.001)、オセルタミビル治療の実施(aOR 2.43、p=0.01)があり、二次感染の傾向も認められました(aOR 2.56、p=0.07)。短期的な好ましい転帰はインフルエンザB型でより一般的でしたが(aOR 2.52、p=0.02)、慢性呼吸器疾患とチャールソン併存疾患指数は好ましい転帰の可能性を低下させました(それぞれaOR 0.34、p=0.04および0.25、p=0.001)。カプランマイヤー生存曲線では、90日時点での死亡率はインフルエンザA型とB型の間で同様でした(13.4%対8.7%、p=0.3)。
結論:
インフルエンザA型とB型は異なる臨床経過を示し、B型を軽視すべきではありません。これらの知見は、より早期の抗ウイルス薬投与開始を促進するための早期診断検査と、両インフルエンザ型に合わせたより広範なワクチン政策の必要性を強調しています。