注目論文:生物学的製剤による重症喘息の臨床的寛解達成率とその定義に関するメタ解析
呼吸器内科
重症喘息における生物学的製剤治療後の臨床的寛解について、系統的レビューとメタ解析の結果が報告されました。臨床的寛解は約30-40%の患者で達成可能である一方、その定義は研究間で大きく異なっていました。当院でも多くの重症喘息患者に生物学的製剤を使用していますが、寛解の定義の標準化と、早期介入の重要性を示唆する貴重なエビデンスと考えられます。
Clinical remission attainment, definitions, and correlates among patients with severe asthma treated with biologics: a systematic review and meta-analysis
生物学的製剤で治療された重症喘息患者における臨床的寛解の達成、定義、および関連因子:系統的レビューとメタ解析
Shackleford A, Heaney LG, Redmond C, McDowell PJ, Busby J.
Lancet Respir Med. 2025 Jan;13(1):23-34.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39549709/
生物学的製剤で治療された重症喘息患者における臨床的寛解の達成、定義、および関連因子:系統的レビューとメタ解析
Shackleford A, Heaney LG, Redmond C, McDowell PJ, Busby J.
Lancet Respir Med. 2025 Jan;13(1):23-34.
背景:
臨床的寛解は重症喘息における重要な治療目標として注目されていますが、研究対象集団、定義、方法の違いにより、報告される達成率は様々です。本研究では、生物学的製剤で治療された重症喘息患者における臨床的寛解の達成率、定義、関連因子について系統的レビューとメタ解析を行うことを目的としました。
研究デザイン:
本系統的レビューとメタ解析では、Web of Science、Embase、MEDLINEを用いて、データベース開始から2024年6月13日までに発表された研究を「喘息」と「寛解」をキーワードとして検索しました。生物学的製剤で治療された重症喘息患者における臨床的寛解を報告した英語の査読付き論文を対象としました。臨床的寛解は、経口ステロイド維持療法、増悪、喘息症状負荷の3要素による定義と、これに肺機能を加えた4要素による定義を設定し、DerSimonian-Laird変量効果モデルを用いて寛解達成率とその関連因子を評価しました。
結果:
3,014の潜在的適格研究から25研究(28の寛解達成率解析)が選択されました。68の臨床的寛解の定義が特定され、そのうち48が独自のものでした。3要素による寛解定義では38%(95%信頼区間29-47%)、4要素による定義では30%(27-34%)が寛解を達成しました。FEV1低値(オッズ比0.09)、喘息症状重症度(0.23)、長期罹患(0.49)、経口ステロイド維持療法(0.57)などの呼吸器因子や、うつ病(0.38)、肥満(0.41)などの併存症が寛解達成の障壁となることが示されました。臨床的寛解は生物学的製剤で治療された重症喘息患者の一部で達成可能な目標であり、早期介入と包括的な治療可能な特徴へのアプローチの重要性が示唆されました。
臨床的寛解は重症喘息における重要な治療目標として注目されていますが、研究対象集団、定義、方法の違いにより、報告される達成率は様々です。本研究では、生物学的製剤で治療された重症喘息患者における臨床的寛解の達成率、定義、関連因子について系統的レビューとメタ解析を行うことを目的としました。
研究デザイン:
本系統的レビューとメタ解析では、Web of Science、Embase、MEDLINEを用いて、データベース開始から2024年6月13日までに発表された研究を「喘息」と「寛解」をキーワードとして検索しました。生物学的製剤で治療された重症喘息患者における臨床的寛解を報告した英語の査読付き論文を対象としました。臨床的寛解は、経口ステロイド維持療法、増悪、喘息症状負荷の3要素による定義と、これに肺機能を加えた4要素による定義を設定し、DerSimonian-Laird変量効果モデルを用いて寛解達成率とその関連因子を評価しました。
結果:
3,014の潜在的適格研究から25研究(28の寛解達成率解析)が選択されました。68の臨床的寛解の定義が特定され、そのうち48が独自のものでした。3要素による寛解定義では38%(95%信頼区間29-47%)、4要素による定義では30%(27-34%)が寛解を達成しました。FEV1低値(オッズ比0.09)、喘息症状重症度(0.23)、長期罹患(0.49)、経口ステロイド維持療法(0.57)などの呼吸器因子や、うつ病(0.38)、肥満(0.41)などの併存症が寛解達成の障壁となることが示されました。臨床的寛解は生物学的製剤で治療された重症喘息患者の一部で達成可能な目標であり、早期介入と包括的な治療可能な特徴へのアプローチの重要性が示唆されました。