注目論文:市中肺炎治療におけるマクロライド系抗菌薬併用の有効性評価
呼吸器内科
市中肺炎の入院治療において、βラクタム系抗菌薬へのマクロライド系抗菌薬の追加投与が予後改善に寄与するかどうかを検討した研究です。英国のリアルワールドデータを用いた解析により、マクロライド系抗菌薬の追加は30日死亡率や入院期間に有意な改善をもたらさないことが示されました。
Addition of macrolide antibiotics for hospital treatment of community-acquired pneumonia
市中肺炎の入院治療におけるマクロライド系抗菌薬の追加効果
Wei J, Walker AS, Eyre DW
J Infect Dis. 2024 Dec 24:jiae639
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39718980/
市中肺炎の入院治療におけるマクロライド系抗菌薬の追加効果
Wei J, Walker AS, Eyre DW
J Infect Dis. 2024 Dec 24:jiae639
背景:
現在のガイドラインでは、中等度から重症の市中肺炎(CAP)の経験的治療として、βラクタム系抗菌薬にマクロライド系抗菌薬を併用することが推奨されています。しかし、マクロライド系抗菌薬の使用は有害事象や薬剤耐性との関連が指摘されています。
研究デザイン:
2016年1月から2024年3月までの期間に、英国オックスフォードシャーでCAPのため入院し、初期治療としてアモキシシリンまたはアモキシシリン/クラブラン酸を投与された8,872名の成人患者の電子カルテデータを解析しました。ベースラインの重症度による交絡を調整するため、逆確率処理重み付けを用いて、マクロライド系抗菌薬追加による30日全死因死亡率、退院までの期間、Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアの変化への影響を検討しました。
結果:
マクロライド系抗菌薬の追加使用と30日死亡率との関連は認められず、マクロライド系抗菌薬の有無によるオッズ比は、アモキシシリン群で1.05(95%信頼区間: 0.75-1.47)、アモキシシリン/クラブラン酸群で1.12(0.93-1.34)でした。また、退院までの期間についても、マクロライド系抗菌薬の追加による有意な差は認められませんでした(アモキシシリン群: +1.76日 [-1.66, +5.19]、アモキシシリン/クラブラン酸群: +0.44日 [-1.63, +2.51])。SOFAスコアの改善についても、マクロライド系抗菌薬使用との関連は認められませんでした。これらの結果は、肺炎の重症度による層別解析や欠損データの補完による感度分析でも一貫していました。
集団レベルでは、マクロライド系抗菌薬の追加は市中肺炎患者の臨床転帰の改善と関連しませんでした。市中肺炎治療におけるβラクタム系抗菌薬へのマクロライド系抗菌薬の併用については、有害事象や薬剤耐性のリスクとのバランスを考慮して判断する必要があります。
現在のガイドラインでは、中等度から重症の市中肺炎(CAP)の経験的治療として、βラクタム系抗菌薬にマクロライド系抗菌薬を併用することが推奨されています。しかし、マクロライド系抗菌薬の使用は有害事象や薬剤耐性との関連が指摘されています。
研究デザイン:
2016年1月から2024年3月までの期間に、英国オックスフォードシャーでCAPのため入院し、初期治療としてアモキシシリンまたはアモキシシリン/クラブラン酸を投与された8,872名の成人患者の電子カルテデータを解析しました。ベースラインの重症度による交絡を調整するため、逆確率処理重み付けを用いて、マクロライド系抗菌薬追加による30日全死因死亡率、退院までの期間、Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアの変化への影響を検討しました。
結果:
マクロライド系抗菌薬の追加使用と30日死亡率との関連は認められず、マクロライド系抗菌薬の有無によるオッズ比は、アモキシシリン群で1.05(95%信頼区間: 0.75-1.47)、アモキシシリン/クラブラン酸群で1.12(0.93-1.34)でした。また、退院までの期間についても、マクロライド系抗菌薬の追加による有意な差は認められませんでした(アモキシシリン群: +1.76日 [-1.66, +5.19]、アモキシシリン/クラブラン酸群: +0.44日 [-1.63, +2.51])。SOFAスコアの改善についても、マクロライド系抗菌薬使用との関連は認められませんでした。これらの結果は、肺炎の重症度による層別解析や欠損データの補完による感度分析でも一貫していました。
集団レベルでは、マクロライド系抗菌薬の追加は市中肺炎患者の臨床転帰の改善と関連しませんでした。市中肺炎治療におけるβラクタム系抗菌薬へのマクロライド系抗菌薬の併用については、有害事象や薬剤耐性のリスクとのバランスを考慮して判断する必要があります。