注目論文:COVID-19ワクチン接種とCOVID-19後の静脈血栓塞栓症リスク
呼吸器内科
COVID-19ワクチンの追加接種により、COVID-19感染後の静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが大幅に低下することが示されました。COVID-19ワクチン接種の有効性を支持する貴重なデータと考えられます。
Estimating the Effect of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Vaccination and Infection Variant on Post-COVID-19 Venous Thrombosis or Embolism Risk
COVID-19ワクチン接種と感染変異株がCOVID-19後の静脈血栓塞栓症リスクに与える影響の推定
O'Carroll A, Richard SA, Byrne C, et al.
Open Forum Infect Dis. 2024 Sep 23;11(11):ofae557
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39494453/
COVID-19ワクチン接種と感染変異株がCOVID-19後の静脈血栓塞栓症リスクに与える影響の推定
O'Carroll A, Richard SA, Byrne C, et al.
Open Forum Infect Dis. 2024 Sep 23;11(11):ofae557
背景:
これまでの研究でワクチン接種がCOVID-19後の静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを低下させることは示されていましたが、追加接種による影響は不明確でした。本研究では、COVID-19ワクチン接種がCOVID-19後のVTEリスクに与える影響を推定し、その関連性の大きさが変異株の時期によって異なるかを検討しました。
研究デザイン:
2020年から2022年の間にSARS-CoV-2陽性となった米軍医療システム(MHS)の受給者を対象としたケース・コントロール研究です。ケース群はSARS-CoV-2陽性から90日以内にVTEで受診した患者、コントロール群は90日以内にVTEを発症しなかった感染者と定義しました。多変量ロジスティック回帰分析により、他のVTEリスク因子を調整した上で、COVID-19前のワクチン接種状況に基づいてSARS-CoV-2感染後のVTEのオッズ比を推定しました。
結果:
解析対象となった4,646名のMHS受給者のうち、1,370名が基本接種を完了し、790名が少なくとも1回の追加接種を受けており、71名がSARS-CoV-2感染後90日以内にVTEを発症しました。未接種者と比較して、基本接種完了者のVTEリスクは72%低下(調整オッズ比 0.28 [95%信頼区間: 0.13-0.62])、追加接種者では94%低下(調整オッズ比 0.06 [95%信頼区間: 0.01-0.46])していました。COVID-19後のVTEリスクはオミクロン株の時期に最も低かったものの、VTEの発生数が少なく、変異株の時期とワクチンの効果の相互作用を検討することはできませんでした。本研究により、COVID-19ワクチン接種はCOVID-19後のVTE診断のリスクを低下させ、追加接種でその効果がより大きくなることが示されました。
これまでの研究でワクチン接種がCOVID-19後の静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを低下させることは示されていましたが、追加接種による影響は不明確でした。本研究では、COVID-19ワクチン接種がCOVID-19後のVTEリスクに与える影響を推定し、その関連性の大きさが変異株の時期によって異なるかを検討しました。
研究デザイン:
2020年から2022年の間にSARS-CoV-2陽性となった米軍医療システム(MHS)の受給者を対象としたケース・コントロール研究です。ケース群はSARS-CoV-2陽性から90日以内にVTEで受診した患者、コントロール群は90日以内にVTEを発症しなかった感染者と定義しました。多変量ロジスティック回帰分析により、他のVTEリスク因子を調整した上で、COVID-19前のワクチン接種状況に基づいてSARS-CoV-2感染後のVTEのオッズ比を推定しました。
結果:
解析対象となった4,646名のMHS受給者のうち、1,370名が基本接種を完了し、790名が少なくとも1回の追加接種を受けており、71名がSARS-CoV-2感染後90日以内にVTEを発症しました。未接種者と比較して、基本接種完了者のVTEリスクは72%低下(調整オッズ比 0.28 [95%信頼区間: 0.13-0.62])、追加接種者では94%低下(調整オッズ比 0.06 [95%信頼区間: 0.01-0.46])していました。COVID-19後のVTEリスクはオミクロン株の時期に最も低かったものの、VTEの発生数が少なく、変異株の時期とワクチンの効果の相互作用を検討することはできませんでした。本研究により、COVID-19ワクチン接種はCOVID-19後のVTE診断のリスクを低下させ、追加接種でその効果がより大きくなることが示されました。