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2012年1月から2015年11月までフランスの24 の病院を対象とし、重症高齢患者においてICU入室の恩恵を検証するため、ICU入室を勧奨する介入群と通常診療を行う対照群を比較したクラスターランダム化試験。

PICOは、Patietは活動性の癌指摘や低栄養なくADLが7段階の4以上の75歳以上の救急受診患者、InterventionはICU入室をプロトコール化する群と、Comparisonは一般病床とICU入室を通常通りに行うことと比べており、Primary outcomeは6ヶ月の死亡率、Secondary outcomeはICU入院率、院内死亡率、6ヶ月の機能状態、ADLであった。

方法としては、病院群をコンピューターにて割付け、3036人の参加者が設定され、1518人の介入群はトリアージにおいて対象患者を体系的に入院するように推奨し、ベッドがなければ別病院のICUに転院搬送した、1518人の対照群は通常の診療を行った。サンプルサイズは、Power74%、P値=0.05と、死亡率に関して絶対差として6%を有意とし、N=2802と算出した。

primary outcome である6ヶ月の死亡率は(45% vs 39%; [RR], 1.16; 95% CI, 1.07-1.26 pvalue<.001で)介入群が有意に高かった。しかし、年齢や重症度、疾患、元々の患者状態によって調整後には有意差を認めなかった。(RR, 1.05; 95% CI, 0.96-1.14 pvalue.28)また、Secondary outcome に関して、ICU入室率は介入群の方が有意に高かったが(61% vs 34%; RR, 1.80; 95%CI, 1.66-1.95 pvalue<.001 )、調整後は有意差を認めなかった(RR, 1.68; 95%CI, 1.54-1.82 pvalue<.001)院内死亡率では介入群が有意に高いが、(RR, 1.39; 95%CI,1.23-1.57 pvalue<.001)調整後有意差を認めなかった。(RR, 1.18; 95% CI, 1.03-1.33 pvalue.03)。ADL、6ヶ月の機能状態に関しては調整前後でも有意差を認めなかった。

以上より、論文の結論は重症高齢患者でのICU入室において与えられる恩恵は多くない可能性が示唆されている。ただし、この論文にはいくつかのバイアスがあり、ランダム化が不完全であり、クラスターランダム化におけるクラスターの数が足りない可能性、調整は事前に計画されていない可能性があること、転送によって重症度などが変わった可能性も考慮される。

Effect of Systematic Intensive Care Unit Triage on Long-term Mortality Among Critically Ill Elderly Patients in France A Randomized Clinical Trial
Bertrand Guidet, MD1,2,3; Guillaume Leblanc, MD1,4; Tabassome Simon, MD, PhD2,5; et al
JAMA. Published online September 27, 2017. doi:10.1001/jama.2017.13889

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科