不動寺センター長のERひとりでできるもん:第11話 めまいの各論 〜BPPV(良性頭位発作性めまい症)の特徴・診察・治療〜

KMC ERでの週に1回の不動寺センター長によるER Tipsレクチャーの模様です。
初期研修医やもっとERを学びたい後期研修医向けに一人でER当直を乗り切れることを目標としています。

今回は、前回のめまい総論(TiTrATEとシンプルアプローチ)の復習と、BPPVの特徴・診察・治療について勉強しました。

※Tipsの一部を紹介。

めまい診療のポイント

  • 典型例を覚えておく→典型例でない場合は注意して診療にあたる
  • t-AVSの大多数はBPPV
  • めまいを訴える患者の脳梗塞に対するMRIの感度は80%程度→それなりに見逃してしまうことに注意
  • 病歴・神経所見にて中枢性めまいを鑑別せよ
    ・HINTS
    ・前失神を鑑別せよ
  • 眼振をしっかり見よ、誘発せよ
    ・フィレンツェル眼鏡
    ・Dix-Hallpike maneuver supine roll test
  • 歩行できるか確認せよ
    ・Romberg test、継ぎ足歩行

BPPV
<特徴・診察>

  • 頭位変換によって誘発、潜時を伴う、回っているような異常感覚、発作の持続時間は1分以内
  • 耳鳴り、難聴は伴わない
  • 耳石が原因で、後半規管が80%程度、あとは外側半規管
  • Dix-Hallpike maneuver(後半規管)
    ・頚椎症に注意、患者にめまい増悪するが1分程度で治まることを説明
    ・頭部を45度回旋し、介助しながら臥位とし、頭部をさらに20度懸垂位に
    ・典型的には2-20sの潜時を伴い、患側向きの回旋性眼振を認める
  • Supine roll test(外側半規管)
    ・Dix-Hallpike maneuverが陰性の時に行う
    ・仰臥位として天井を見てもらう
    ・一方へ急速に回旋させる
    ・典型的には、半規管型は地面向き、クプラ型は天井向き水平性眼振

<治療>
非薬物治療

  • 後半規管型:Epley法:一番効果的と言われている
  • 外側半規管型:Barbecue rotation法
  • Semont positioning maneuver
  • リハ(Brandt-Daroff exercise):自宅で数日で直したい など
  • Gufoni maneuver

薬物治療

  • ルーチンには投与しない
    →転倒のリスク↑、代償が遅れる可能性
  • 投与するなら、抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン、アタラックスP)、ベンゾジアゼピン(ジアゼパム)、制吐剤(メトクロプラミド)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科