体外衝撃波治療 Extracorporeal Shock Wave Therapy (ESWT)
体外衝撃波治療とは?
1980年代頃から結石破砕治療として腎臓結石などの治療として一般的に用いられています。ヨーロッパを中心に整形外科分野への応用が広まり、近年、日本においても厚生労働省の認可がおりて臨床使用が可能となりました。
体外衝撃波の効果
整形外科分野では、主に腱障害の除痛や組織修復に効果があるとされています。また、骨の疾患に対しても治療により組織修復に効果があると報告されています。
そのメカニズムはまだ不明な点もありますが、痛みを感じる神経(自由神経終末)を変性させる効果、神経内で痛みに関連する伝達物質を減少や炎症に関与しているサイトカインという物質の発現抑制などで除痛効果が得られると報告されています。また、血管新生や成長因子の産生により組織修復が促されることで除痛効果が得られるとも報告されています。
適応疾患:国際衝撃波治療学会
慢性的な腱障害
- 石灰沈着性腱板炎
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- アキレス腱炎
- 足底腱膜炎 など
骨疾患
- 骨折遷延治癒
- 疲労骨折
- 初期の離断性骨軟骨炎 など
使用機器
整形外科分野においては、結石破砕治療のおよそ10分の1の出力で治療が行われます。当科で使用する体外衝撃波治療器は『DUOLITH SD1(STORZ MEDICAL社製)』を使用致します。
治療の流れ
体外衝撃波についての説明後、リラックスした姿勢、体位をとっていただき、医師が照射部位にマーキングを行います。
ハンドピースをマーキング部位に当て、衝撃波を照射します。治療中は痛みの耐えられる範囲で出力を上げていきますが、低出力での照射でも耐えられない場合には治療を中止する場合もあります。15分程衝撃波を照射し治療を終了します。
推奨の治療回数は週に1回の照射を3週間行うプロトコールです。症状により照射回数を調整します。
参考文献
国際衝撃波治療学会(ISMST)ホームページ
https://www.shockwavetherapy.org/about-eswt/
Notarnicola A, Moretti B. The biological effects of extracorporeal shock wave therapy (eswt) on tendon tissue. Muscles Ligaments Tendons J. 2012 Jun 17;2(1):33-7.
Mani-Babu S, Morrissey D, Waugh C, Screen H, Barton C. The Effectiveness of Extracorporeal Shock Wave Therapy in Lower Limb Tendinopathy. Am J Sports Med. 2015 Mar;43(3):752-61.
このサイトの監修者
亀田総合病院
スポーツ医学科主任部長 大内 洋
【専門分野】
スポーツ整形外科、関節鏡手術、スポーツ整形外科疾患に対する超音波診断
PRP療法、体外衝撃波、高気圧酸素治療の最新治療法