スポーツ医学とは19- 安全なスポーツ!?アメリカンフットボール

今回は4月よりスポーツ医学科医員として着任した山田慎先生に先生自身がやっていたアメリカンフットボール(以下、アメフト)のスポーツ医学について解説してもらいます。(以下O:大内、Y:山田)

O:アメフトのスポーツとしての特性について教えてもらえますか?

Y:皆さま、はじめまして。4月よりスポーツ医学科に来ました、山田慎と申します。昨年度まで沖縄の久米島にて診療しておりました。学生時代はアメフト部で私自身けがも数多く経験しています。このたび亀田総合病院のスポーツ医学科に入ることができ、大変光栄に思っております。一人でも多くのスポーツ選手を一日でも早くフィールドに戻せるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。さて、大内先生のご質問にお答えしましょう。アメフトはアメリカでは最も人気のあるスポーツで、攻撃、守備それぞれのスペシャリストたちが、フィールド上で緻密な作戦を練りあい、相手陣地を目指す、非常に頭を使うスポーツです。そして走る、投げる、取る、ぶつかる、と運動のほとんど全ての要素を必要とするのが特徴です。更に、ヘルメットやプロテクターなど装具をつけての運動となり練習や試合では、非常に大きなエネルギーを消耗します。

O:私自身アメフトの試合を見るのが好きなのですが、怪我が多いですよね?アメフトの怪我の特徴は何かありますか?

Y:はい。屈強な選手達が更にプロテクターを装着し、激しくぶつかり、押し、倒し、ボディチェックをするため、スポーツ障害というよりは骨折など外傷が発生する可能性が高いです。特に頭部・頚部は、頭からぶつかることで頭蓋内出血や、頚椎・頚髄損傷、などの重傷外傷を引き起こす可能性もあり、予防が大きな課題となっております。四肢の外傷は、各関節・骨の骨折、脱臼、捻挫(靭帯損傷)などの外傷が多くなっています。特に膝関節は外傷も障害も多く見られる部位で、コンタクトやカッティングをした際に受傷することが多く、前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷を代表とする靭帯損傷や、半月板損傷が多く見られます。慢性障害例では、ほとんどはランニングやジャンプなどのオーバーユース(使い過ぎ)でみられる例であり、ジャンパー膝、オスグッド病(膝の膝蓋靭帯で脛骨が引っ張られて発生する骨軟骨症)などが代表的です。

O:アメフト選手のこういった様々な怪我に対して治療する上でのポイントはありますか?

Y:まず何よりも事前のメディカルチェックや体作り、ストレッチ、テーピング指導による予防の徹底が重要です。また、外傷・障害発生時は迅速な応急処置と専門医療施設への受診、適切な診断、治療、復帰に向けたリハビリテーションも重要となってきます。当科として、試合や練習に同行した際は、現場での適切な応急処置を行い、病院ではスポーツ整形専門医による診察、レントゲン、CTスキャン、超音波やMRIなど最新の医療機器を用いた診断と、スポーツ医科学センターでのリハビリテーションを中心にした治療、必要時は関節鏡を用いた処置を中心に、1日も早い選手復帰のサポートを行っています。

orthopedics_26a.jpg

スポーツ医学科 大内洋

このサイトの監修者

亀田総合病院
スポーツ医学科主任部長 大内 洋

【専門分野】
スポーツ整形外科、関節鏡手術、スポーツ整形外科疾患に対する超音波診断
PRP療法、体外衝撃波、高気圧酸素治療の最新治療法