スポーツ医学とは13- スポーツ医学の現場で活躍する超音波検査 !

当院のスポーツ医学科を受診される患者さまの多くが、すでに他の病院にかかっておられ「レントゲン上問題ない」と診断された方々です。それにも関らず痛みが続いているために「何か問題があるのでは?」と心配で受診してくださるようです。
このような方々に対して我々が外来でほぼ必ず行う検査が「超音波検査」です。部位にもよりますが、筋や靱帯、軟骨の損傷の有無を最も簡便に、しかも、その場で迅速に調べることができる検査だからです。もちろん妊娠中にお腹の中の赤ちゃんをみるのに使うくらいですから、痛みなどはまったくありません。
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骨折がなければレントゲンやCT検査をしても異常はみつかりません。またMRI検査を行うには時間がかかります。こういったことからも迅速な診断が必要になるスポーツの現場で超音波装置が有用なのです。
さらに最近ではきれいな画質で持ち運び可能な携帯型超音波装置もあります。私たちスポーツ医学科の医師は様々なスポーツのチームドクターをしておりますが、大会現場には専らこういった超音波装置を持って出かけます。大雪のなかでも写真のように車の荷台を「移動診察室」として用いて超音波検査で選手の靱帯損傷や肉離れの診断をしています。
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次に最新の超音波機能である「エラストグラフィー」についてお話しいたします。エラストグラフィーは組織の弾力性を色で示すことができる画期的な機能です。この機能を用いて撮影したアキレス腱断裂が次の写真です。
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この写真では矢印で示した部分がアキレス腱の断裂部で青色になっております。また周囲が赤色になっております。このように、アキレス腱の断裂部分に血液がたまり、そのたまった血液が固まってきているということが色の変化でわかるのです。
以上のように超音波検査は大変有用な検査です。超音波検査をご希望の方は是非スポーツ医学科にて相談してみてください。

スポーツ医学科 大内洋

このサイトの監修者

亀田総合病院
スポーツ医学科主任部長 大内 洋

【専門分野】
スポーツ整形外科、関節鏡手術、スポーツ整形外科疾患に対する超音波診断
PRP療法、体外衝撃波、高気圧酸素治療の最新治療法