各部署紹介
院内調剤科
入院中の患者さまおよび、救命救急センター、透析センター、化学療法センターなどの外来の患者さまが使用される内用薬・外用薬の調剤を24時間体制で行っています。
鑑査においては、用法・用量、重複投与、相互作用などを確認していきます。
調剤においては、薬袋自動作成機、全自動錠剤分包機、散剤鑑査システム、水剤鑑査システムへ同時に調剤情報が伝達され、業務の効率化を図ると同時に、調剤ミスをシステムによって未然に防ぐようにしています。
注射調剤科
処方内容の評価・確認を行い、注射薬を調剤し供給しています。
調剤にはピッキングマシーンを使用しており、1施用ごとのセットを実施しています。中心静脈栄養液やがん性疼痛や術後疼痛に用いられる麻薬等のPCA(Patient Controlled Analgesia)ポンプの充填、末梢から投与する持続点滴用の注射薬を薬剤部のクリーンルーム、クリーンベンチ内にて混合調製して各病棟に供給しています。
また、手術時に使用する麻酔用注射薬を標準的にセットして供給し、さらに手術室へ薬剤師が常駐することによって、周術期の患者さまに対して使用する薬剤の管理を行い、より品質の高い医療を提供しています。
クリニック薬剤室
クリニック薬剤室では、主に外来調剤(1日平均1,400枚)、吸入薬の使用方法や成長ホルモンなどの自己注射の指導を行っています。
お薬説明書を作成し患者さまに医薬品に関して必要な情報提供を行っています。
薬交付時の服薬説明とは別に、お薬相談室で吸入薬の使用方法の説明(吸入指導)やピークフローメーターを用いた自己管理指導を行っています。また、成長ホルモン、偏頭痛の薬、糖尿病薬(GLP-1)などの自己注射指導および、白内障術前に使用する点眼薬の説明を実施しています。患者さまがお薬の相談を希望された場合も、お薬相談室にて相談に対応しています。お薬相談は予約対応することもできます。
がん化学療法科
化学療法科では、がん化学療法を受けられる患者さまに安心安全な治療を提供しています。
外来化学療法のオーダーは事前に薬剤師が院内登録レジメンに基づいて内容の確認を行います。またプロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)を活用し、薬物治療へ積極的に関わるように取り組んでいます。
投与当日は、臨床検査値を参照し投与基準を満たすことを確認した後に調製を行います。
抗がん剤の調製は入院・外来すべてを薬剤部で行います。完全室外排気型の安全キャビネットや閉鎖式接続器具、抗がん剤調製ロボットを使用し、調製者が安全に作業できる環境を整えています。
化学療法開始前や、治療が変更になる場合は患者さまへの説明を実施し、治療開始後は副作用モニタリングおよび適切な支持療法の提案などを行っています。
また、胎児への暴露を未然に防ぐ必要のあるサリドマイド製剤およびその誘導体に対し、安全管理の遵守状況を確認しています。
特定薬剤治療管理料2の新設により、それらの管理・モニタリングをさらに強化し取り組んでいます。
製剤科
現時点で市販されていない薬剤に対して、文献や資料に基づき、かつ薬学・物理的な専門知識を活かして患者さまの病態やニーズに対応した院内製剤の調製を行っています。
当院では現在約100種類の院内製剤の登録があり、医療現場に供給しています。
また、生薬を漢方薬抽出自動包装機や煎じポットを用いた漢方煎じ薬の調製も行っています。
薬務科
医薬品の供給に付随した業務全般が、経済的・合理的・かつ円滑に行われるように調整しています。
具体的な業務の一部として、日々の在庫管理、発注業務を法律に則り、適正な在庫量を確保し、医薬品の品質が担保できるよう行っています。また、震災等の影響で医薬品の品薄への対応やインフルエンザ治療薬やワクチンの必要量の確保などに努めています。
患者さまに安心、安全な医薬品を供給できるよう、また、在庫金額を考慮しながら業務を行っています。
DI科
DI(医薬品情報)科は、医薬品に関する様々な情報を収集し、評価をして、医薬品の適正使用に向けて医師等の医療従事者へ情報提供を行っています。
また、当院では処方オーダリングシステムや医薬品情報システムを活用しているため、これらのマスターや情報の管理も行っています。
一方で、医師等からの問い合わせに対しては、医薬品情報の信頼性等を考慮しながら、根拠に基づいた回答を心がけています。さらに、DI科は薬事委員会の事務局も担っています。
医薬品が製造販売承認された段階で資料等を収集し、製薬会社からヒアリングを行い、有効性や安全性、経済性等の観点から総合的に評価を行い、評価結果を薬事委員会でプレゼンテーションしています。
また、最近では、採用後の安全対策が必要な医薬品については、関連診療科との合意の上で適正使用に向けた安全対策を実施し、採用後のモニタリング・評価を行い、より安心・安全な薬物療法が提供できるよう努めています。
臨床薬剤科
集中治療室および一般病棟に薬剤師が常駐し、持参薬管理、処方支援や注射薬の流速確認などの薬剤関連の業務とともに診療科カンファレンスへの参加や回診への同行なども行っています。
また、ベッドサイドでの患者面談、診療録情報やフィジカルアセスメントから得られた情報を基に薬に関する問題点を抽出し、安心、安全な薬物治療を提供するために積極的に薬物治療へ参画しています。
さらに、タスクシフティング・シェアリング業務の推進を行い、様々な方向からアプローチをすることに挑戦しています。
臨床薬剤科(TDM:Therapeutic Drug Monitoring)
TDMとは、薬物血中濃度を測定し効果・副作用に関連する様々な因子をモニタリングしながら、それぞれの患者さまに個別化した薬物治療を行うことです。
当院では、年間5,500件近くの薬物血中濃度測定が実施されています。その多くはタクロリムス、シクロスポリンなどの免疫抑制薬やバンコマイシン塩酸塩をはじめとした抗菌薬です。
その他、抗てんかん薬、ジゴキシン、テオフィリン、メトトレキセート、リチウムのTDMも行っております。
入院/外来に関わらず、薬物血中濃度測定の実施された全ての患者さまにおいて即日TDMレポートを作成し、薬剤師から担当医へコメントを伝えています。
臨床薬剤科(ICU:Intensive Care Unit;特定集中治療室)
当院のICUは、特定集中治療室管理料2の施設基準を満たし、集中治療科医によるclosed ICU体制をとっています。
専任の薬剤師を2013年より配置し、現在は病棟薬剤業務実施加算2を算定しています。
刻々と変化する患者さまの状態に合わせ、薬物治療が有効的かつ安全に行われるよう、回診の参加・ベッドサイドでの薬剤の効果や副作用のモニタリング・TDMを積極的に行い、医師、看護師、臨床工学技士、管理栄養士、臨床検査技師らと連携してチーム医療を実践しています。
また、ICU専任の薬剤テクニシャンが配置されており、病棟のクリーンベンチで1日30-40本ほど注射薬の調製を行っています。これにより薬剤師は病棟薬剤業務により専念することができます。
臨床薬剤科(NICU:Neonatal Intensive Care Unit;新生児特定集中治療室)
NICU(Neonatal Intensive Care Unit ; 新生児特定集中治療室)は、早産児や低出生体重児、または何らかの疾患のある新生児が、治療のために入る集中治療室です。
当院では、2012年よりNICUでの病棟薬剤業務、薬剤管理指導業務を開始しました。
調剤部署へ処方せんが出力される前の投与量や流量計算の実施、配合変化等を考慮したルート設計、TDM、保護者への薬剤説明、医師・看護師らからの問い合わせ対応などを行っています。
副作用情報センター
当センターは、亀田メディカルセンター内で発現した医療用や一般用(OTC)医薬品による副作用症例を収集し、その情報を一元管理することによって、医薬品の安全性を継続的にモニターし、患者さまが同様な副作用による被害を起こさないことを目的としています。
また調査した副作用症例はPMDAに報告しています。
治験管理センター
治験管理センターは、GCPに基づき治験の品質管理・品質保証を確立し、適切に実施するための施設環境の整備・関連各種システム構築とその実行をする部門として、1999年4月に設置されました。
構成員は2021年11月10日現在、センター長(薬剤部長兼務)、センター長補佐(薬剤管理部兼務)、CRC(治験コーディネーター)5名(薬剤師3名、看護師1名、臨床検査技師1名)、事務員1名です。
CRCは治験を適正に実施するために治験責任医師を支援しながら治験全体をコーディネートしています。具体的には、外来の治験では診察に立ち会い、被験者さまの来院スケジュール調整や、治験担当医師が治験調査項目を漏れることなく実施・記録しているかを確認します。
治験依頼者が直接治験担当医師に問い合わせを行う場合、CRCは面会の日程調整や、問い合わせ内容の確認・記録等を行います。また、新しい治験がスタートする際は、医局説明会をセッティングします。
PET・RI(放射性医薬品の調製及び品質管理業務)
日本核医学会が認定する適切な学会あるいは団体が主催する講習会を受講した薬剤師が、放射性医薬品取り扱いガイドラインに基づき、核医学検査に用いられる様々な放射性医薬品の監査・調製を行っています。
また、亀田PET-CTセンターにおいて、各専門分野で定められた品質管理基準に基づきPET検査薬の[F18]FDGの品質管理業務を行っています。
担当薬剤師は、医師、看護師、技師など放射線領域に関わる医療従事者と連携し、病院薬剤師業務としての新しい職能を発揮しています。