高齢者への高用量インフルエンザワクチンが定期予防接種に

来年度から高齢者への高用量インフルエンザワクチンが定期予防接種に入ります。
従来の4倍量の抗原が入った高用量インフルエンザワクチンは欧米で先行して導入されていましたが、その有効性を証明する論文が複数報告されており、それを踏まえて厚労省の審議会予防接種・ワクチン分科会での議論を経て高齢者の定期予防接種Bとして採用されることになりました。
2024年のJournal of Infectionのシステマティックレビューでは従来のワクチンと比較して入院を減少(相対的ワクチン効果rVE23.5%)させました。死亡率には有意差を認めませんでした。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016344532400121X

2025年のLancetに報告された論文ではインフルエンザまたは肺炎によるに入院リスク(rVE)を8.8%減少させました。こちらの報告でも総死亡には差はありませんでしたが、検査で確定されたインフルエンザの入院を31.9%減少させており、患者への有益性とともに医療機関への負担減少という点でも重要な意味があると思います。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41115437/

以下に定期予防接種採用の発表と厚労省の分科会での資料、10月22日に開かれた厚労省の分科会でのインフルエンザのファクトシートのリンクを張っておきます。
https://www.sanofi.co.jp/assets/dot-jp/pressreleases/2025/251121.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001563875.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001583663.pdf

このサイトの監修者

亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長  細川 直登

【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育